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2015/03/17(火) 00:00

既存住宅の価値の可視化に期待 「次世代不動産業あり方検討会」発足

投稿者:  牧田司

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 左から小倉氏、三津川氏、一色氏(霞ヶ関:東海大校友会館で)

 一般社団法人次世代不動産業支援機構(代表理事:三津川真紀氏)は3月16日、ICT(information and communication technology)技術を駆使して消費者が住宅選択する際の判断指標となり、既存住宅の流通促進を後押しする「次世代不動産業あり方検討会」を発足させたと発表した。

 既存住宅を単なる物件概要にとどまらず、ICT技術を用い趣味・エンターテイメント、仕事・雇用、交通・地域、環境・エネルギー、医療・介護、教育・子育て、家事・家庭などの切り口からアプローチし、それぞれの価値の見える化、可視化を図り、すべての不動産を統一した評価軸でラベリングしようという試み。「スマートリボン住宅」として商標登録している。

 「検討会」の座長は同機構顧問で神奈川工科大教授・一色正男氏が務め、内閣府、小林史明衆議院議員が協力する。元日本テレビアナウンサーで現在フリーの小倉淳氏が理事・プロモーション統括として名を連ねている。

 主な構成メンバーはイオン、NTTデータ経営研究所、日本コムシス、パナソニック、エコソリューションズ社など。

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三津川氏

◇       ◆     ◇

 記者発表会は、代表理事・三津川氏が冒頭、現在の既存住宅は必ずしも消費者目線にあっていないことを指摘した。

 つまり、①様々な取り組みは領域ごとに論議されており、内容に偏りがある②領域ごとの取り組みは領域単位でしか把握されていないので、消費者は理解しにくい③領域ごとの議論は融合されておらず、統一した評価軸(指標)がない③住まい(暮らし)や地域(周辺環境)のバリューを可視化し、情報として開示・提供すべき-などで、三津川氏は「たとえばヘムスなどと言われても消費者は理解できていない。住宅も生活も街も消費者の判断基準でアイデンティティの転換が必要」と強調した。

 記者は三津川氏の話をいちいちごもっともだと聞いていた。新築マンションの場合、デベロッパーは単に物件情報だけでなくありとあらゆる情報を広告に盛り込んで物件特性をアピールしている。〝〇〇は日本一〟〝〇〇は東京初〟〝主婦の評価№1〟などだ。その意味でかなり可視化は進んでいる。物件規模が大きければ可視化に伴う費用もかけられる。

 ところが中古住宅の場合、最近は流通会社が詳細な情報を提供はしているが、消費者がほしい情報は自ら探すしかない。ネガティブ情報などがとくにそうだ。まず、仲介会社はそのような情報を積極的に開示しない。〝旧耐震〟〝歓楽街に隣接〟〝前に建物あり、日照不可〟などは絶対表示されない。かといえば、〝〇〇(スーパーゼネコン)施工〟などと物件概要に書かれていないことまで大文字で色つきでアピールする。

 その意味で、先日、スムストックのシンポジウムで中川日大教授が話した「情報の非対称性」は厳然として存在する。

 とはいえ、不動産は極めて個別性の高い商品だし、消費者の物件選考要素は多様化しており、それこそ十人十色、千差万別。様々なファクターを可視化したところで役に立たない場合も想定される。例えばコミュニティ。三津川氏はコミュニティを可視化したいと語った。記者も大賛成だ。これが実現したら中古市場は変わるはずだ。

 しかし、「コミュニティなど関係ない」という消費者は少なくない。〝コミュニティ濃密〟などと表示したら即選考の対象外にされる物件もあるはずだ。街のポテンシャルも測りづらい。そのあたりをどうするかが課題だろう。

 それでも「検討会」には大いに期待したい。流通業界に風穴を開ける気持ちで取り組んでいただきたい。 

 

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