国土交通省は3月26日、東洋ゴム工業の免震材料の大臣認定不適合問題について、同社から「55棟全ての建築物について、震度5強程度の地震に対して十分な耐震性を有しており、倒壊するおそれはない」との報告があったと発表した。
同省はこの結果を踏まえ、「震度5強程度の地震に対して十分な耐震性を有しており、倒壊するおそれはないことについて確認」したとし、「55棟以外にも大臣認定不適合の免震材料を用いた疑いがある建築物について、至急全容を解明し、事実関係を報告すること」などの指示を出した。
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今回の発表により、震度5程度の地震に対しては問題がないとされたのは不幸中の幸いといえるかもしれないが、この調査結果は欺瞞だ。
そもそも新耐震基準は震度6~7程度の地震では倒壊しないというものだ。その基準を満たしているのは当然だ。同社の報告で「うち17棟については、震度6強から7程度の地震での検証により震度5強程度での地震での検証を省略」というのは論外。残り38棟は旧耐震基準で検証を行なったということか。そうであるなら、これはあまりにも人を馬鹿にした検証だ。デベロッパーもユーザーも倒壊しないのはもちろん、揺れが軽減されるという安心・安全に高いお金を払っているのだ。
検証すべきなのは、震度6~7程度の地震で免震装置としての機能が保たれるのかどうかということだ。徹底して行なわないと、免震マンションの信頼性は土台から揺らぐ。