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2015/04/10(金) 00:00

価格の安さだけではない 巧みな需要喚起策 大成有楽不動産「品川勝島」

投稿者:  牧田司

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「オーベルグランディオ品川勝島」完成予想図

 大成有楽不動産の「オーベルグランディオ品川勝島」を見学した。「品川勝島」といわれてもほとんど一般の方は知らないかもしれないが、圧倒的な価格の安さと、明快な商品コンセプトで地元だけでなく都下、さらには神奈川、埼玉、千葉方面からの需要も取り込む可能性を秘めている。〝価格表示〟はいかにあるべきかを問う物件でもある。

 物件は、東京モノレール大井競馬場前駅から徒歩7分(京急本線立会川駅から徒歩11分他)、品川区勝島1丁目に位置する20階建て全452戸。専有面積は62.38~85.59㎡、予定価格は3,200万円台〜6,200万円台(最多価格帯4,300万円台)、坪単価は未定だが200万円台の前半に落ち着く模様だ。竣工予定は平成29年1月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大成有楽不動産販売、長谷工アーベスト。

 現地は、用途地域が準工業地域であることから倉庫街で、敷地北側には高速道路が走っている。敷地東側には東急不動産が昨年から分譲している「ブランズシティ品川勝島」が近接している。また、南方向には15階建ての官舎476戸が2016年に完成する予定。

 建物はL字形で、住戸プランはファミリー向けが中心。共用施設としてはユニークなカフェラウンジ、ソフトサービスのほか、コミュニティ支援プログラムなどを用意している。

 今年1月から予定価格をホームページで公開しており、これまで問い合わせ・資料請求は約2,000件に達している。4月18日から予約制でモデルルームを公開するが、すでに約300件の見学予約があるそうだ。反響は地元中心だが、神奈川県、埼玉県、千葉県からが約4割にのぼっている。

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カフェテラス

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「ファミリー・ラボ」(ウォールドアが付いている)

◇       ◆     ◇

 書きたいことがたくさんあるマンションだ。まず、価格の安さと価格の公開時期について。

 安さについては言うまでもないだろう。東急不動産の物件より明らかに安い。問い合わせが広域にわたっているように、ユーザーが敏感に反応したのだろう。坪単価200万円では相当の郊外・遠隔地でないと供給されないことが浸透している証拠だ。

 それよりも、ホームページを公開して間をおかずに予定価格を公表したのが嬉しい。このことについては、同社の「吉祥寺Ⅱ」の物件でも書いているので読んでいただきたいが、早めに予定価格を公表するのがデベロッパーの務めだと思う。「じらす(teases)」戦法は不動産に限らずあらゆる商品の常とう手段だが、この業界は半年も平気で「価格未定」と謳う。これほど消費者を馬鹿にした売り方はない。

 もう一つ強調したいのは、販売事務所の設営、アピールの仕方が巧みであることについて。ここ数年、同社のマンションの商品企画が劇的に変わったことは何度も書いてきたが、この物件もそうとう力が入っていることがすぐ理解できる。

 その代表的なものがカフェラウンジだ。コーヒーやパンのサービスを行うのは他社と同じだが、ここはパスタも販売するという。これは珍しいのではないか。コーヒーメーカーは〝コーヒーメーカーのフェラーリ〟と呼ばれる「LA-CIMBALI(ラ・チンバリー)」製だという。

 記者は、フェラーリもポルシェもレクサスも車のメーカー・車種であることくらいしか分からないし、ラ・チンバリーなんて初めて聞く言葉だ。その価値がさっぱり分からないのだが、助け舟を出してくれた人がいた。一緒に見学した同業の記者が「フェラーリはここのマンションの2LDKと一緒くらいの値段。ラ・チンバリーは高級ホテルで使われているマシーン」と教えてくれたのだ。確かに頂いたコーヒーはエスプレッソに近い味がしておいしかった。コーヒーの味は分かる。ある著名な有料老人ホームの食事は最低だったが、リッツ・カールトンと同じ豆を使ったコーヒーは抜群に美味しかった。

 これで終わらないのが今回の取材の面白いところだ。取材を終えてからその同業の記者と一緒に帰ったとき、何と赤いフェラーリ(フェラーリレッドと呼ぶのだそうだ)が走っているのをその記者が教えてくれた。なるほど、昔、子どもに買ってあげたおもちゃと一緒だった。

 それだけではない。販売事務所では、来場者にカフェラウンジを体験してもらうために無料でこの〝フェラーリ〟コーヒーやパンなどを振る舞うのだそうだ。そのため接客フロアはサロン風の造りになっている。これもいい。

 プロモーションビデオがまた面白い。デザイン処理された〝新品〟の文字がスクリーン上で乱舞した。記者はすなおだから当然〝シンピン〟と読んだ。ところが、これは〝シンシナ〟と読ませるのだそうだ。つまり、この「勝島」エリアはここ数年で約1,400戸ものマンション(官舎含む)が建設され、羽田や品川、大井町、大森にも近い住宅地に変貌することを強調するために、このような面白いプロモーションビデオになったようだ。

 このほか、ゲストルームのベッドはウェスティンホテルで採用されているものと同じ。コミュニティ支援では、地元のNPOなど5社・団体のサポートが受けられるようにしている。

 住戸プランでは、奥行き2メートルのバルコニー、同社オリジナルの収納のほか、多目的に利用できる1畳大のファミリー・ラボ、女性が化粧しやすいように照明の位置や鏡の位置を工夫した「オレンジドレッサー」を提案。食洗機は標準装備。オプションだが、和室のガラリ付きの木調扉がいい。防音性や断熱性にも優れた2重サッシを全窓に採用している。

 全体的には、東急不動産の物件をかなり研究した跡がうかがわれる。この日の見学会に同業や関係者にも声を掛けていることからも、力の入れようが伝わってきた。管理会社と一体となった体制の効果もでている。

 ついでに、競馬場の影響について。記者はかつて競馬ファンであった。大井競馬もよく行った。駅に降りるとすぐ厩舎があり、あの馬糞の臭いがたまらなく発走前の馬のように興奮状態になったものだが、マンションの現地まではその匂いはほとんど届かないそうだし、上層階からも馬が疾駆する姿も見えないそうだ。

 

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販売事務所

坪単価は“旧価格” 「オーベルグランディオ吉祥寺II」(2015/1/27)

東急不動産の省CO2推進プロジェクト第1弾 「ブランズシティ品川勝島」(2014/3/9)

 

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