三井ホームは5月7日、2015年3月期連結決算を発表した。売上高は前期比2.3%増の2,529億円、経常利益は同6.6%減の42億円、純利益は同1.5%減の18億円。
昨年4月の消費税増税の反動などにより一時的な落ち込みが続いたものの、政府の各種景気刺激策の効果に加え、株高の影響等もあり、年末にかけて穏やかな回復基調がみられたのが業績を下支えした。
こうした環境の中、同社は独自技術による付加価値をもたせた「プレイアム・モノコック構法」の基本構造を2×6(ツーバイシックス)ウォール」とすることにより、より高い建物性能を訴求し、「オーダーメイドプライド。」をコミュニケーションワードにイメージアップを図ってきた。
今後は、同社の強みであるオーダーメイドの家づくりによるデザイン性を訴求するともに、営業力と施工能力の最大化、効率化を図っていく。
2016年3月の連結業績予想は、売上高は0.4%増の2,520億円、経常利益は同12.5%減の37億円、純利益は8.2%減の17億円を見込んでいる。
◇ ◆ ◇
市川俊英社長が決算説明会の席上で大規模木造施設について「フォローウインド」と形容したように、木造による施設受注は間違いなく増える。
記者はその風に乗るだけではなく、さらに「木」の勢いを加速させるために建売住宅の請負を増やすべきだと思っている。現在の数字はあまりにも小さすぎる。売り上げの1%もない。少ないからこそ伸びる可能性も秘めている。
このことと関連することだが、昨年、流山おおたかの森でハウスメーカー各社が共演した建売住宅団地を見学したが、真っ先に売れたのは同社と住友林業だった。
この例がよく示している。「木」が他の鉄やコンクリートよりいいのは言うまでもない。最大手の積水ハウスだって鉄は伸び悩むどころかここ数年は減少しており、木の「シャーウッド」がほぼ一貫して伸ばしている。積水ハウスのよさは「5本の樹計画」にもあるのだが、記者はそのうち鉄に並ぶのではないかとさえ思っている。
その点で、三井ホームも引けを取らない。デザイン力が抜群だからだ。展示場での顧客を獲得するのも結構だが、一番わかりやすいのは実際に分譲されている住宅を見てもらうことだ。展示場よりよほど効率がいいのではないか。
これまで三井不動産や野村不動産に大きく後れを取ってきた東急不動産や三菱地所、住友不動産などはそれぞれ子会社の施工による建売住宅の供給を増やしている。
三井ホームは三井不動産に売り込みを強化すべきだし、施工部門を持たない野村不動産に攻勢をかけたらどうか。多少価格は高くても評価されると確信している。依拠すべきは一般のユーザーだ。アッパーミドル・富裕層向けでは互角以上に戦えるはずだ。