首都圏などの同じ意見をもつ13のマンション管理組合(総戸数9,309戸)は5月28日、国土交通省などにマンション標準管理規約の「コミュニティ条項」を削除しないよう求める意見書を提出した。
意見書は、先に国交省「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」がコミュニティ条項の削除するよう求めた報告書は「問題点が看過できないほど重大」とし、「コミュニティ条項が削除されると、各マンションは指針を失い、かえって紛争を助長し、裁判費用などの出費も余儀なくされるかもしれず、そのような事態を招いた政府の責任も問われかねない」と、削除しないよう求めている。
また、①管理組合が行うことのできる業務(権能)にはコミュニティ形成(活動)が含まれること、この業務に関する支出は区分所有法に違反しないことを明記する②管理組合と自治会の目的・業務には一部共通点があること、そのため、一定の条件下においては、管理組合が自治会費の徴収・支払いに事実上関与したとしても区分所有法に違反しないことを明記する③区分所有法に違反しないコミュニティ形成(活動)、支出、費用徴収のあり方に関する設例やベストプラクティスや、区分所有法に違反しない管理組合の自治会費の徴収・支払いへの関与の仕方などを明記する-ことを求めている。
意見書を作成したのは「アーバンドックパークシティ豊洲管理組合」(東京都江東区、1487戸)と「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー管理組合」(川崎市、797戸)で、このほか都内や神奈川県、千葉県、茨城県、大阪府の11の管理組合が賛同者として名を連ねている。
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記者はこれまで「検討会」に対してかなり批判的な記事を書いてきた。検討会を主導した委員は、まともな論議などせず他の意見も聞こうとせず、最初から「削除」することを強行しようと考えていたのではないかといわざるを得ない。現場のことなどまったく分かっていないと思った。検討会は海外視察も行なったようだが、わが国のマンションはどれくらい見学したのか聞きたい。
今回、戸数にして1万戸に近い管理組合の総意としてこのような意見書が提出されたのは大きな意味を持つ。
6月2日に行われたマンション管理業協会の総会後の懇親会でも、山根弘美理事長は検討会が組合の役員についても厳しい要件を設けたのについて触れ、「経済原理も大事だが、所有と利用が分離されている海外に対して、わが国は8~9割が実需。マンションコミュニティは文化。よりよく進化させるため活動していきたい」と、検討会を批判した。
来賓として挨拶した井上義久・公明党幹事長も「コミュニティ、高齢化対応など総合的な見直しが必要で、強い関心を持っている。時代の変化に対応できるものにしないといけない」と、管理のあり方に関心を示した。