「有隣堂トレアージュ白旗店」 店内のオープンスペース
有隣堂は6月19日、三井不動産グループの三井不動産商業マネジメントが運営・管理する藤沢市のライフスタイルパーク「トレアージュ白旗ショッピングセンター」に有隣堂トレアージュ白旗店を6 月19 日(金)にオープンした。18日、オープンに先立って報道陣に公開された。
「有隣堂トレアージュ白旗店」は、有隣堂が三井不動産・三井不動産商業マネジメントと協働でショッピングセンター向けに新たに開発した新業態店舗。買い回りの向上を図るため、店舗内にお客様がゆったりとくつろげるフリースペース「トレアージュガーデン」を設置し、モール内の既存店舗と連携した様々なサービスを展開していく。
主な連携サービスは、①「FRESHNESS BURGER」などによるモール限定のデリバリーサービス②「ソフトバンク」など利用時に発生した待ち時間を過ごしてもらうサービス③「Francfranc Le Garage」や「HANAYATA(はなやた)」と連携したインテリアショップやフラワーアレンジメント④「TULLY'S COFFEE」のコーヒースクール、「明光義塾」の出張ミニ授業などイベントの共催と-など。
地元の人の交流の場、サークル活動の場としても無料で利用できるようにしていく。
発表会に臨んだ有隣堂常務・松信健太郎氏は、「三井さんからやってみないか、という声が掛かり、思い切ってやってみることにした。このままでは街からどんどん本屋がなくなっていく。商品を置かないスペースが地域の交流の場になり、笑顔あふれるスペースになってくれればいい。街の書店の本質とは何かをもう一度考える時期に来ている」と話した。
松信氏
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本屋が危機的な状況にあるのは記者も肌で感じている。景気の長期低迷、若者の活字離れ、ネットの浸食など、その原因はいろいろなところで語られている。
苦境を何とか打開しようと本屋さんも必死になっている。今回の有隣堂の決断もその一つだろう。売り場面積約540㎡のうち約90㎡のフリースペースに割くのには勇気がいったことだろうが、成功してほしいと願うばかりだ。同社は恵比寿や新宿でも同じようなサービスを行っているが、「全体の売り上げは落ちると考えていたが、横ばいで推移している」(松信常務)ようで、新業態は売り上げ減の歯止めになっている。
18日の事前内覧会
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松信氏が報道陣の質問に答えているとき、「歩く」ことを強調した。市場を調査するとき、とにかく地元を隈なく歩くのだそうだ。どのような家が建っているか、車はどのような種類か、洗濯物はどのようなものかをチェックするというのだ。
〝なるほど〟と思った。「歩く」ことはデベロッパーの仕入れも、われわれ記者にも共通する仕事のイロハ、鉄則だ。目利き力が試されるのは同じだ。
その意味で、本屋の長期低迷が続くのは、本屋に限らず、出版社や作家、ライターにも努力が足りないと感じてならない。
ある地方の駅前の大きな本屋に寄ったら、雑誌類だけでなく、辞書類、その他の多くの書籍にはビニールがかけられていた。
辞書などは店頭で手に取り、紙の厚さを確認し、文字の大きさ、デザイン、用例の多寡を調べて購入するのではないか。〝ビニ本〟は、中身が劣悪なのを自ら肯定しているようなものだ。「本を殺す」のは本屋自身ではないか。
店舗内