RBA OFFICIAL
 
2015/07/02(木) 00:00

ポラスの分譲住宅 ブランディング強化に期待

投稿者:  牧田司

pixlr_決算①.jpg
ポラス代表取締役・中内晃次郎氏

 ポラスグループの平成27年3月期連結業績は、消費増税の反動減の影響を受けたものの、分譲住宅が後半に盛り返し、プレカット事業も生産量が拡大したことなどから、売上高はほぼ前期並みを確保し、純利益は過去最高を達成した。

 売上高は1,734億円(前期比99.9%)、営業利益は104億円(同94.7%)、経常利益は111億円(同97.7%)、純利益は29億円(同117.4%)。契約戸数は分譲住宅が2,074戸(同94.1%)、注文住宅が725戸(同85.1%)。

◇       ◆     ◇

 同社の分譲住宅について考えてみる。契約戸数が3年連続で2,000戸を超えた。これはすごい数字だ。しかし、何を持って分譲とするのか、どこと比べるのかによって意味は異なってくるし、この2,000戸がどのような数字かも理解しがたい。

 例えば圧倒的な戸数を誇る飯田グループはどうか。同社の平成27年3月期の売上戸数は45,656戸だ。内訳は一建設が11,686戸、アーネストワンが10,183戸、飯田産業が5,858戸、東栄住宅が4,159戸、アイディホームが3,929戸、タクトホームが3,673戸だ。

 大手のハウスメーカーとはどうか。これはデータがないので分からないが、積水ハウスの分譲住宅の売上高は約1,200億円だから、1戸4,000万円として戸数は約3,000戸だ。もちろんハウスメーカーは分譲が主力ではない。

 デベロッパーとの比較はどうか。トップの三井不動産レジデンシャルの戸建て分譲戸数は899戸で、2位の野村不動産は859戸だ。今期の三井の予定戸数は800戸で、野村は850戸。予定通りであれば、野村が初めて三井を抜くことになる。3位以下は比べ物にならないほど少なく、デベロッパーの分譲戸建ては三井と野村の2強の争いになっている。

 ではいったい、ポラスはこれらと同じ土俵で論じるべきかどうか。「建てて売る」ことを分譲住宅と定義づけるなら、みんな同じだから、飯田グループが圧倒的に多く、積水ハウスなどのハウスメーカー、そしてポラスグループ、三井、野村などと続くことになる。

 しかし、記者はこれらを一括りして比較すべきでないと考えている。飯田グループの分譲住宅はここ数年全く見ていないので何とも言えないが、顧客層が重なる部分はあってもコンセプトも価格帯も商品も異なる。よって、この飯田グループは比較対象としない。ポラスグループが飯田グループと競い合う意味は全くない。

 となると、他のハウスメーカーや大手デベロッパーと競い合うべきだと思う。弱点はある。やはりブランド力は全国展開している大手ハウスメーカーやデベロッパーにはかなわない。ポラスの商圏は埼玉、千葉、それと都内の東武東上線、西武線、城東エリアなどに限られている。

 この主戦場でどう他社との競合に打ち勝つか。記者は十分勝算はあるとみている。商品企画がいいからだ。

 戸数が少ない現場でも街づくりに力をいれているのがその一つだ。住宅のトラブルに際して迅速に対応できないエリアでは事業を行わないという企業姿勢も同社の大きな強みだ。

 住宅そのものの商品企画でも他社より優れているものが少なくない。例えば天井高。同社は1階の天井高2700ミリを標準としている。これは圧倒的な強みだ。無垢材を建具や作り付けの家具に積極的に採用しているのも差別化につながるし、収納などにも工夫を凝らしている。また、以前から入居者同士のコミュニティづくりにも力を入れている。

 ここ1、2年、同社は都内でも数カ所分譲しているが、どこも売れ行きは好調だ。ユーザーに支持されている証だ。記者も大手と互角に戦える商品企画だと思う。

 こうした強みをどうアピールしていくかだが、ここに同社の課題があるように思う。阿波踊りに加え、サッカーの浦和レッズのスポンサーになったことで知名度はかなり浸透しているだろうが、〝ポラスの住宅〟とは何かをわかりやすく伝える工夫が必要ではないか。ブランディング強化に期待したい。

決算②.jpg
決算説明会で紹介されたポラスグループ社員で女子サッカー「レッズレディース」の選手。左がDF(ディフェンダー)の千葉望愛さん(経営企画部 経営企画室 広報チーム所属)。右がGK(ゴールキーパー)の池田咲紀子さん(総務部 サービス課所属)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン