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2015/08/06(木) 00:00

ポラス 蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」蔵の補修が完了

投稿者:  牧田司

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「ことのは 越ヶ谷」

 ポラスグループは8月6日、計画を進めてきた埼玉県越谷市の〝蔵のある街づくりプロジェクト〟「ことのは 越ヶ谷」の蔵の補修が完了したのに伴い報道陣に公開した。

 江戸末期に建てられたという蔵の曳家を行い、再生した蔵と分譲戸建て4棟を一体として開発し、蔵は敷地、建物を含め越谷市に寄付する。蔵の土地代、曳家費用、補修費は合計で約6,000万円。2014年10月に曳家が完了。その後、市との協議を重ね、2015年3月、開発許可を取得している。

 分譲住宅は来年1月に販売する予定。価格は未定。

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外観北側正面.jpg

◇        ◆     ◇

 このプロジェクトが発表されてから現地を訪れるのは今回で4度目か。蔵はこれまで見たのとは全く異なる、装いも新たになった〝新しい蔵〟そのものだった。

 耐震補強が施され、内装には杉材が多用され、外壁は戦時中の空襲を逃れるために黒だったのを当初の白漆喰に改められていた。

 家の中は冷暖房設備を設置できるようになっていたが、この日は扇風機だけ。汗が噴き出る中、家の中も見た。

 太い梁などが赤黒く鈍い光を放っていた。何の木だろうと思い、曳家を担当した野口組の棟梁・野口且由氏に聞いたら「すべてケヤキとスギ」とのことだった。昔はその地で採れた材木(地木)を使って建てるのが一般的で、同地にはスギやケヤキがたくさん植わっていたのだという。

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野口組棟梁・野口氏(左)とポラス中央住宅戸建分譲設計本部 営業企画設計一課 係長 池ノ谷崇行氏

◇        ◆     ◇

 記者は当初から、敷地、建物とも分譲住宅購入者が共同で取得して、管理も行うのを期待していたが、やはり難しかったようだ。「蔵」を普通のサラリーマンが所有することなど今の時代にできないのはわかってはいたが、それでもそんな夢を抱かせるプロジェクトだった。記者は「蔵」を共同所有する価値と戸建ての価値を合わせれば一戸7,000万円はあると見ていたが、夢は実現しなかった。まあ、致し方ない。

  これから市はどのように生かすのかも気になる。今回の蔵は新たに再生し、街のコミュニティ施設として運用されるのだろうが、このほかにも同地にはたくさん蔵が残っている。それらの蔵を歴史的建造物として残せないのか。小樽、金沢、高岡、川越、伊勢、京都、倉敷、萩、長崎…などのように街全体を保存する価値は十分あると思う。越谷にこんな素晴らしい街があるなどとは全然思わなかった。

 駅前には新しいタワーマンションができたが、周辺の景観はどこの郊外の街と変わらない。蔵のある街と駅前の景観はどうしても一致しない。赤やら青やら黄色やら満艦飾の飾りや看板がありふれた街であることを主張し、主人公になれない街路樹は申し訳なさそうに意地を張っていた。

 正直に言えば、完成した蔵もいいが、今にも朽ち果てそうな再生前のあの蔵もまた美しいと記者は思う。関東大震災にも戦争にも耐えたからこそわれわれは歴史を感じ、そこに感情を移入できるのだ。70年前の8月6日、あの蔵はどのように街の人を見ていたのか。

内観1階写真.jpg
1階部分

内観2階写真.jpg
2階部分 

ポラス、越ケ谷小3年生107人を対象に「蔵の曳家」体験イベント(2014/10/2)

RC造に匹敵する江戸の蔵残す ポラス「蔵のある街」プロジェクト(2014/3/15)

 

 

 

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