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2015/08/08(土) 00:00

旭化成ホームズ 二世帯住宅「娘夫婦同居」30年前の23%から34%へ この数字の意味

投稿者:  牧田司

 旭化成ホームズが8月8日、「二世帯住宅調査報告会・入居宅見学」を行なったが、とても興味深いデータが発表された。何の制約もなければ、「息子夫婦同居」と「娘夫婦同居」の割合は50:50になるはずだが、実際はそうなっていないことが明らかになった。同社が二世帯住宅を販売開始してから今年で40周年を迎えたが、今回の調査は息子・娘夫婦同居で異なる不安を解消する提案法を探るのが狙いの一つ。

 築30年の二世帯調査回答者の「娘夫婦同居」比率は23%であるのに対し、2013年契約時アンケートではその比率は34%へ11ポイント上昇している。それでも「息子夫婦同居」比率のほうが多数派を占めている。

 そこで、記者は同社に「この差はなぜか」と質問した。同社のくらしノベーション研究所所長・松本吉彦氏は、「分かりません」と答えた。

 松本氏が分からないというのだから記者は分かりようもないのだが、調査結果からはその理由があぶりだされてくる。

 親子同居を検討する際に、9割以上の親世帯、子世帯が同居ブレーキ(不安)を感じるのだが、その不安は嫁や姑の女性のほうがより強く感じていることがテータは明らかにしている。

 子世帯から見た場合、息子夫婦同居を検討する妻は「義母と上手くやっていけるかしら」という不安(88%)を抱いており、夫は「母と嫁の関係が心配」という不安(65%)がもっとも多い。一方、娘夫婦同居を検討する妻は「わたしの親と同居する夫のことが心配」という不安(70%)が多数を占め、その夫(マスオさん)は「一人の居場所があるか心配」という不安(64%)がもっとも多い。

 一方、親世帯から見た場合、息子夫婦同居でも娘夫婦同居でも、父親も母親も「子世帯に介護の負担をかけたくない」というのが大きなブレーキになっており、とくに息子夫婦同居を検討する母親は「嫁問題はなにかと気遣いが多い」(67%)と答えている。

 つまり、妻は姑や夫のことが気掛かりで、その母もまた〝他人〟の嫁との関係を心配しており、娘夫婦同居を検討する夫(婿)は「自分の居場所」を最優先している図式が浮かび上がる。

 これらの調査結果は家父長制の名残りであり、家・家族の問題が色濃く反映されていると見ることはできないか。嫁姑問題とは、家や夫に対する不満のはけ口がない姑が嫁にそのままそっくり転化、なすり付けることであり、〝男を立てる〟ことが女性の美徳であるという考えがいまだに世の中を支配しているからではないか。

 それでも、同社の二世帯住宅の回答者の娘夫婦同居比率が30年の間に23%から34%へ伸びたのは、同社の営業努力もあるのだろうが、「子育ての援助、高齢親の自宅介護の希望、同居の安心・安全」「女性が仕事をするためには、親の援助が必要」という切実な問題が同居アクセルになっているのは間違いないと思う。

 

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