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2015/08/27(木) 00:00

「スムストックの認知度と販売士がカギ」 優良ストック住宅協議会・和田会長

投稿者:  牧田司

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和田会長

 ハウスメーカー10社とその流通グループで構成される「優良ストック住宅協議会」が8月26日、記者会見を開き、同協議会会長・和田勇氏(積水ハウス会長兼CEO)は、建物と土地の総額表示で、築20年を経過すると建物の価値がほとんどゼロになる現在の中古住宅の査定方法を改め、土地と建物価格を分離評価して、良質なものが適正に評価される仕組みを構築しなければならないと語った。

 現在、国は諸外国と比較して大きく立ち遅れている中古住宅・リフォーム市場規模を2010年時点の10兆円から2020年には20兆円に倍増させる目標を掲げており、木造戸建ては築後20~25年で住宅の市場価値がゼロとなるような取り扱いを改め、住宅の使用価値を適切に評価する方法と評価の根拠となるデータを整理する必要があるとし、その他インスペクション、リフォーム一体型ローンのあり方などを検討している。

 同協議会は7年も前から土地と建物を分離評価するなど独自の価格査定方法を採用し、実績を積み上げてきた。今回の会見は、国の動きを加速させ、ハウスメーカーの戸建ては築年数が経過しても市場で適正に評価されていることをアピールする狙いがある。

◇       ◆     ◇

 「優良ストック住宅推進協議会」が発足したのは7年前の2008年。任意団体が「優良ストック」として認定するのはいかがなものかと記者は思ったが、趣旨には大賛成だった。しかし、いかんせん10社の流通部門が束になってかかっても大手流通会社1社の営業網にかなわないし、発足当時の各社の足並みはそろっていなかった。

 その後、どうなるのだろうと静観していたが、このところ中古住宅流通の市場拡大・活性化が大きなテーマになり、中古査定の見直し機運が高まるにつれ、「スムストック」が俄然注目を浴びるようになってきた。

 築20年で建物の価格がゼロになり、建物と土地の価格をひっくるめて総額表示する従来の査定方法でなく、建物と土地を分け、しかも建物は構造躯体のスケルトン(S)の耐用年数を50年、設備仕様のインフィル(I)を15年として分離査定し、価格査定により透明性を持たせたのは業界に大きなインパクトを与えた。

 協議会のデータによると、一般的な木造住宅の査定価格は築20年以降ではゼロになるのに対し、スムストックは築31年以降でも273万円で成約しており、21年以降の平均建物価格は517万円となっている。

 いいものが評価される時代の流れと、協議会がスムストックの普及に力を入れてきた結果、価格を査定し営業も行う「スムストック住宅販売士」は2013年の1,986名から2014年には3,023名へと52%も増加した。

 成約件数も飛躍的に伸びている。10社の戸建てストックは約353万棟あり、このうち年間約1.4万棟が流通しており、10社の流通捕捉率は前年の5.4%から2014年は9.3%の1,297棟に増加すると見込まれている。

 「いつまでにスムストックを10社で1万棟(捕捉率9.3%から71.4%)に引き上げるのか」という記者団の質問に、和田会長は「そりゃ3年以内にやらなきゃいかんでしょ。10社のトップが集まって決意を約束したんだから」と語った。

 1万棟に伸ばすためには倍々のスピードでないと達成できず、和田氏も強調したように「スムストック」の認知度を高め、販売士を増やすことができるかどうかがカギとなる。

 和田氏の強気発言の裏には、スムストックが中古市場で適正に評価されれば新築やリフォームの受注増につながり、ハウスメーカーとその流通グループの市場での評価を高めたいという狙いがありそうだ。本気度が伝わる会見だった。

 同協議会は今年7月、組織をより活性化させるため独立事務所を設置した。

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