RBA OFFICIAL
 
2015/09/08(火) 00:00

三井不レジ キッチンを動かせる画期的商品「Imagie(イマジエ)」開発

投稿者:  牧田司

Imagie kitchen.jpg
キッチン

 三井不動産レジデンシャルは9月8日、ライフスタイルやライフステージに応じて住戸内のレイアウトを変えられる間取りフリープラン「Imagie(イマジエ)」を開発し、10月末に分譲するマンション「パークホームズ赤羽西」に採用すると発表した。キッチンをキャスター付きとして可動させるというもので、前代未聞の企画にユーザーがどのような反応を示すか興味津々の物件だ。

 物件は、都営地下鉄三田線本蓮沼駅から徒歩7分、北区赤羽西六丁目に位置する10階建て全160戸。専有面積は68.63~87.64㎡、価格は未定。竣工予定は2016年9月中旬。施工は長谷工コーポレーション。

 「Imagie」とは、「imagination(想像力)」と「ie(家)」を合わせた造語で、住む人が想像をふくらませることができる意を込めたという。   

 特徴は以下の6つ。①整形かつ天井・床面を完全フラットにした独自の空間設計②キャスターで可動するオリジナルキッチンユニット(Imagie kitchen)を新開発③専有部内の3カ所のキッチン接続ポートによって、キッチン移動工事の工程を大幅に削減④玄関前にゆとりあるウェルカムポーチを設けることで、バルコニーのような使い勝手を実現⑤プランに合わせて自由にグルーピングできる照明計画⑥主要な設備スイッチの集約で、空間レイアウトがさらに自由に-。

 記者発表会の冒頭挨拶した同社開発事業本部都市開発二部部長・各務徹氏は、「マンションのマーケットは都心部を中心に順調だが、外部環境は建築費が高止まりし、お客様の選別も厳しくなってきている。企業努力をしないといけない時代だ。今回の新商品も多様化しているニーズに応えたものの一つ。新商品は専有部分の8割を自由にプランニングでき、しかも安価でできるのが特徴。これからもどんどん付加価値をつけて進化させていきたい」と語った。

キッチン下部キャスター.jpg キッチン接続ポート.jpg
キッチン下部キャスター(左)とキッチン接続ポート

◇       ◆     ◇

 「Imagie」を商品化できたのは、排煙ダクトがいらない循環式レンジフードを設置し、IHを利用することで排煙の問題(ガスでは具合が悪い)をクリアしたことがまず挙げられる。

 重さが400キロ近いキッチンをどう動かすかだが、これもキャスターを付けることで問題を解決した。キャスターを浮かせて床に固定する際の問題点も、京大防災研究所の実験で震度7相当でも強度は十分であることが確認できているという。

 さらに、接続ポート(電気・給排水・給湯設備)を3カ所に設置したことで、間取りの可変性をさらに高めた。しかも、工事は10万円以内で収まるという。階高(約3m)はそれほど変えずに、玄関に入る前からスロープ式にして住居内をフルフラットにし、給排水管の勾配もクリア。二重床・二重天井にし、妻側住戸6戸に限定したことで、音の問題も解消できたという。ただ、ディスポーザーには現段階では対応できないそうだ。

パークホームズ赤羽西外観全景.jpg
「パークホームズ赤羽西」完成予想図

◇       ◆     ◇

 この嬉しさは何に例えたらいいのだろう。例えば、難しい方程式が解けたとき、囲碁・将棋、カルタ、チェスで劣勢を一挙に挽回したとき、ジグゾーパズルの最後のピースがはまったとき、知恵の輪を解いたとき、こんがらがった毛糸玉をほぐしたとき、小指のトゲが抜けたとき、生え変わりの歯が抜けたとき、〝そこそこそこ〟おばあちゃんの肩のつぼを探り当てたとき、贔屓チームの起死回生の逆転満塁サヨナラ本塁打のシーンに出会ったときect.…

 今回の発表会は、そんな嬉しさがこみ上げてきた。そして、ストンと胸に落ちるものがあった。同社の〝パークホームズ〟はたくさん見てきた。間取りプラン提案などは思い出せないくらい多く同社は熱心に取り組んできたし、可動間仕切りは他のデベロッパーも10年、20年前から取り組んできた。

 何が嬉しかったかと言えば、キッチンをキャスター付きで自由に動かせることだった。現場に居合わせた開発協力企業の一つ、タカラスタンダードの担当者によると、可動キッチンは商品としてはあったそうだが、マンションなどの住宅は給排水、換気扇などの問題があり、採用するところは皆無だったという。

 記者も可動キッチンなど考えたことがない。しかし、IHの普及と循環式レンジフードの開発によって、考えとしてはキッチンを自由に設置することは不可能ではないと思っていた。野村不動産と長谷工コーポレーション、ブリヂストンが共同開発した「サイホン排水システム」によって、マンションの間取りはそれこそ自由自在にできると考えていた。

 今回のシステムは「サイホン排水システム」ではないが、それを先取りしたものだ。よくぞ考え出したものだ。開発に当たっては日建ハウジングシステム、タカラスタンダード、富士工業販売、大塚家具、プロセブン、パナソニック、LIXIL、長谷工コーポが協力会社として関わっている。天晴れ、快哉を叫びたいくらいだ。

 嬉しいことはこれだけではない。冒頭挨拶した各務氏には、同社と伊藤忠都市開発が12年前、全701戸の平均専有面積が120㎡という、テーマが〝絆〟の「パークシティ東京ベイ新浦安」を3カ月で完売したときお会いしている。

 各務氏は当時、商品企画担当で、常識を超えた企画を「考え出すと夜も寝られず、悶々とする日もあった。『もっと小さくてもよかったのではないか』と考えたこともあった。気持ちがぐらついたとき、『経営陣も『面白い』といってくれた」と語っている。東日本大震災のあと〝絆〟は流行り言葉になったが、同社はそのころから〝絆〟をテーマにしていた。

 あの「新浦安」を手掛けた各務氏がまた、キッチンを可動式にするなど信じられないようなプランを開発し、責任者としてOKをよくぞ出したものだと思う。根っからの企画マンなのだろう。

 「Imagie」を説明したのは、各務氏の部下でもある同部開発室主任・長戸佐紀子氏だったが、長戸氏もまた嬉々として商品企画について記者団の質問に答えていたのが嬉しかった。

 いま記者は「女性活躍」をテーマに取材をしているのだが、同社はここ数年、ビッグプロジェクトも含め女性担当者が説明するケースが増えている。長戸氏は今回の商品開発に当たって、「キッチンを動かしたいという考えはかなり前から脈々と受け継がれてきた。キッチンを動かしたら楽しいじゃないですか。このプロジェクトにはすべて私も関わってきました」と話した。

 嬉しかったのはまだある。販売を担当する山際寛生氏とばったり出くわしたのだ。これは取材の趣旨とは離れるのだが、山際氏は第三企画が主催するRBA野球大会に平成12年にデビューした。

 愛知の名門・東邦-中大硬式野球部出身で、身長は185センチ。打席こそ4打席と少なかったが、3打数2安打5打点、本塁打も2本放った。投げては王者ケンコーポの小笠原から速球で三振を奪うなど、奪三振率は15.0をマークした。

 あの怪力ぶりはいまでも忘れられない。その後、仕事が忙しいのか野球大会にはほとんど出場しなくなったが、こうして現場で活躍されているのが何よりも嬉しい。山際氏のように販売現場ででも頑張っているRBA野球選手は何百人もいるはずだ。

 長々と書いてしまったが、連綿と引き継がれてきた同社の商品企画担当者の考え・夢がこうして実現したことに記者は感動を覚える。「Imagie」にユーザーがどのような反応を示すか、楽しみだ。人生に夢がある若年層ファミリーには大うけするかもしれない。その価値は「100万円高くても安い」と若い女性記者が語った。

 ウェルカムポーチがまた面白い。これに似たものは同社がもう20年も前にどこだったか忘れたが、提案したことがある。この提案も無限の可能性を秘めている。

 最後に坪単価について。同社は「価格は未定」としているので、以下はあくまでも予想だ。外れても責任は取らない。

 実は、同業の信頼できるある記者と行く途中で一緒になり、あれやこれや歓談し、二人で坪単価はいくらになるか話しあった。その記者は「坪250万円くらいか」と投げかけたので、わたしは「250万円でも驚かないが、三井さんはそこまで高値追求しないんじゃないか。230万円というのはあり得ないが、坪240万円くらいで分譲してくれたら拍手喝采したい」とかえした。分譲は10月末だが、もう少しすれば価格ははっきりする。坪240万円はいい線だろうと思う。

ポーチ扉.jpg
ポーチ扉

Imagieモデルルーム(ウェルカムポーチ)..jpg
ウェルカムポーチ

IMG_2178.jpg
長戸氏

IMG_2176.jpg
山際氏

野村不・長谷工・ブリヂストン 画期的な排水システム開発、実用化(2015/5/22)

来場者9000組 3カ月で完売した「パークシティ東京ベイ新浦安」(2010/12/4)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン