RBA OFFICIAL
 
2015/09/10(木) 00:00

「女性活躍」待ったなし 第三弾 大京アステージ課長代理・山岸真樹氏に聞く

投稿者:  牧田司

IMG_2085.jpg
山岸氏

 不動産業界で先駆的な「女性活躍」の取り組みを行っているのが大京だ。オリックス専務執行役だった田代正明氏が社長・グループCEOに就任した2005年あたりから急激に変わった。

 2006年、新しいシンボルマークを導入し、グループ全社員共通の「家族想い」を「Family First.」という言葉(ブランドタグライン)に込めた。2007年には「時短」「休日・休暇取得促進」「仕事と家庭の両立支援」を大幅に拡充し、2008年には大京、大京アステージ、大京リアルド(現大京穴吹不動産)が「仕事と子育ての両立支援に取り組む企業」として厚労省の認定マーク「くるみん」を不動産業界ではスターツに次いで2番目の早さで取得。現在、業界最多の3回目を取得している。

 2009年には「大京グループ子ども参観日」を開催し、2010年には育児休暇取得者のスムーズな職場復帰を支援する先輩ママ社員との「情報交換昼食会」を行っている。

 そして今年3月、グループのマンション管理会社・大京アステージが女性専門職による「お客さま係」を立ち上げ、2017年度までに全国24カ所の全支店に配置すると発表した。「お客さま係」は、従来の顧客対応では拾いきれなかった潜在的なマンション居住者の〝困りごと〟を女性ならではの気配りで掘り起し、大規模修繕や商品企画に反映させようというのが狙いだ。

 「女性活躍」第3弾は、「お客さま係」の育成・マネジメントに携わる「大京アステージ ライフサービス事業部CA推進室CA推進課(CAはカスタマーアドバイザーの略、「お客さま係」の社内呼称)課長代理」の山岸真樹氏(44)にお願いした。

 山岸氏にお会いするのは3年ぶりだ。初めて会ったのは、2011年に分譲された「ライオンズ志村坂上レジデンス」「ライオンズ多摩センター ステーションブライト」のモデルルームで、当時は「大京 商品企画部 リビングラボ課 課長代理」だった。エネルギッシュに東奔西走する行動力と説得力のある話し方、商品企画力の確かさなど、その活躍ぶりを目の当たりにして、彼女のバイタリティに惚れ込んだ思い出がある。

◇     ◆     ◇

 山岸氏は開口一番、「わたしたちは御用聞きではありません」と切り出し、次のように続けた。

 「わたしたちはマーケッターです。スタッフはアルバイトやパートではなく、いろいろな部署で働いてきた女性専門職ばかりです」

 「お客さまの声は各部署にフィードバックできるようにしています。たとえば、かつてわたしが商品開発に携わった『L's KITCHEN(エルズ キッチン)』が企画意図通りに使われているかどうか検証することで、わたしもすごく参考になりました」

 「マンションの排水管掃除などに立ち会って、入居者宅を訪問し、困りごとや設備の不具合をお聞きしていますが、作業する男性が部屋に入ってくるのを不安に感じていらっしゃる女性の方が多く、わたしたち女性がいることでその不安が解消されます」

 「細かいことですが、上層階に住んでいる方から『どうして清掃はいつも1階からなの。うちも午前中の早い時間にやってほしい』という声があがりますが、『上の階からやると下の階の排水管が詰まることがあります』と説明すると、納得していただけます。このようにお客さまに近い距離にいるから対応も敏速に行えます」

 同社は、「お客さま係」を立ち上げてからこれまで2,000戸以上の居宅訪問を行っているが、人員はまだまだ増やす考えのようだ。

 山岸氏は「スタッフは総勢14名。近い将来50名くらいに増やしたい。男性中心の職場と違うところは、とにかく時間厳守。保育園の迎えの時間は決まっていますので、だらだらと会議などしていられません」と語った。

IMG_2084.jpg

◇          ◆     ◇

 大京の「L's KITCHEN(エルズ キッチン)」を知ったとき、記者はそのきめ細かな商品企画に驚嘆した。その後の業界全体の収納や水回りの設備仕様を劇的に変えたと思っている。

 「L's KITCHEN」の誕生は2005年。女性だけのスタッフ8名で構成するデザインインテリアチームが、座談会やヒアリング、アンケートなどを通じてライオンズマンションに居住する女性、仕事と家事を両立させている女性、専業主婦、子育て中の女性などライフスタイルの異なる女性の声を商品企画に反映させ、女性のため、家族のための使い勝手のよいキッチンが誕生した。

 2006年発売のライオンズマンションから採用され、その後、どんどん進化を遂げていった。例えば、2009年に見学した「ライオンズ石神井公園ステーションゲート」は次のような仕様になっていた。

 調理台には「LILカウンター」と名付けた補助調理台が付いており、三面鏡の裏側には化粧用の拡大鏡が付いていた。カウンタートップには、化粧グッズがたくさん入るボックスもあった。天井のライトは「キレイライト」と呼ぶ自然光、夜用、昼用の3種の調光ライトが付いていた。浴室は音楽が聞け、浴槽をライティングできるようになっていた。玄関のシューズボックスは奥行きを3 センチ広げることで、収納力を通常の1.5倍に広げる工夫もされていた。

 当時、水回り・収納で話題を集めた野村不動産の「Luxmore(ラクモア)」があるが、「ラクモア」の商品化は2008年。「リビングラボ」のほうが3年早い。

 山岸氏は「リビングラボ課」のメンバーの一人。商品企画の意図を理解してもらうため、「もういい。分かった。耳にタコができる」と言われるまで、全国の各支店を東奔西走した。

 その甲斐あって、「L's KITCHEN」は同社だけでなく業界に瞬く間に広まり、その後の商品企画競争に火をつけた。

お客さま係(イメージ).jpg
お客さま係 イメージ図

大輪が咲くはず 大京アステージ 「お客さま係」新設 将来60名体制(2015/3/17)

大京「ライオンズ志村坂上レジデンス」 浴室と和室の襖に新工夫(2011/10/27)

「量の王者」から「質の王者」へ 大京・ライオンズ(2011/10/28)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン