積水ハウスの男女別育児休暇取得者数の推移
先日、積水ハウスの決算説明会・記者懇親会があり、「女性活躍」について同社経営企画部ダイバーシティ推進室室長・伊藤みどり氏と歓談する機会があった。
記者は「女性活躍」の核心は「男性の働き方を変える」ことだと伊藤氏に話した。働く女性には家事労働はもちろん、子どもが生まれるとほとんどそのすべての負担が女性にのしかかる。これは不平等だし、女性への負担が集中することは企業の経済活動にも支障をきたすし大きな損失にもつながると。
伊藤氏も「その通り」と仰った。そこで伊藤氏が話したのは同社の「ハローパパ育児」制度だった。昨年秋から開始したもので、男性の育児休暇が取得しやすいようにするのが主な目的だ。内容は次のようなものだ。
①従来煩雑であった「育児休暇」取得の手続きを通常の勤態システムで申請できるよう簡素化
②全従業員に「育児休暇」に対する理解を促進するため、グループ全従業員に「マンガでわかる仕事と育児の両立ガイド」を配布
③子供の出生を人事システムで会社に届出した際、上長に「育児休暇」取得を勧めてもらうメールを配信(積水ハウスのみ)
④本人には子供を健康保険の扶養に入れる際、健康保険証と一緒に「ハローパパ休暇」をPRするカードを配布(同)
この効果はてきめんだった。別表は同社の育児休暇取得者数の推移を見たものだ。
5年前の60期の女性の育児休暇取得者は87名で男性は30名だ。男性の取得者が多いか少ないかは判断できないが、おそらく住宅・不動産業界では突出して多いはずだ。女性と男性の割合も100:34だから、これも男性の比率は高い。
ハローパパ休暇の促進を図った64期(2014年2月~2015年1月)は女性が242名へ5年前と比べると約2.8倍に増加し、男性も119名へ約4.0倍に増加している。女性対男性の比率も100:49へ改善が進んでいる。他の業界はしらないが、これほど男性の取得率が高いのは大手企業ではないのではないかと思われる。
同社は男性の取得率30%を目指しており、65期下期には達成できる見込みという。
伊藤氏は、ハローパパ育児制度は「男性の育児参加の意識改革に寄与している。育児休暇を取得した男性従業員が、職場の育児中従業員の良き理解者となること、住まいづくりの提案においてもこの経験は非常に意味がある」とコメントしている。
「マンガでわかる仕事と育児の両立ガイド」