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2015/09/29(火) 00:00

阪急不動産「ジオ多摩センター」 同駅圏 最後の大規模マンションになるか

投稿者:  牧田司

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「ジオ多摩センター」完成予想図

 阪急不動産が10月に分譲する「ジオ多摩センター」を見学した。京王・小田急多摩センター駅から徒歩12分の全300戸の規模で、多摩センター駅圏では最後の大規模マンションになるかもしれない。

 物件は、京王・小田急小田急多摩センター駅から徒歩12分、多摩市鶴牧3丁目に位置する15階建て全300戸。専有面積は76.33~101.23㎡、価格は未定だが、5階あたりの坪単価は190万円くらいになる模様だ。竣工予定は2017年2月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 物件の最大の特徴は、駅から現地まで完全に歩車分離のアクセス・アプローチであることだ。歩いて12分もしてなおかつ歩車分離の街はそうないはずだ。

 もう一つは、このマンションが多摩センター駅圏の南口では最後の大規模マンションになるかもしれないということだ。後述するようにUR都市機構は近くに広大な土地を所有しているが、多摩市の意向もあり住宅用地として売却される可能性は小さい。

 住戸プランは、南西向き中心に南東向き、西向きで、居住面積は70㎡台の後半が中心。

 コミュニティを重視しているのも特徴の一つで、「みんなのマルシェ」をほぼ2カ月に1回開催する予定のほか、「みんなの花壇」「七夕デコレーション「みんなの本棚」「コンサート」「コミュ・ブック」なども継続して行っていくという。

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 このマンションのことより記者が気になるのは、その敷地北側にUR都市機構が所有する約3.8haの土地と、その東側に隣接する元わんにゃんワールドの跡地約1.8haの土地がどうなるかだ。双方を合わせると5.6haにもなる。東京ミッドタウンに近い広さだ。

 この点についてUR都市機構と多摩市に聞いた。わんにゃんワールドの跡地についてURは「業務・商業施設として引き合いがあれば売却したい。住宅は想定していない」とのことだった。市も「多摩エリアの拠点として賑わいを創出する施設を希望している。住宅建設については考えていない。ここ数年マンションがかなり建設されており、計画数値に近づいているので、要望があれば協議となるが、学校用地などの問題もあるので難しい」と話している。

 一方、今回のマンション敷地の北側についても同様で、URは「今年いっぱいでいま貸しているところの定借期間が切れるので、これから売却をどうするか検討している」としている。

 なので、今後これらの土地がどのようになるか不明だ。多摩センターは他の街と比べても極めてポテンシャルが高いエリアだと記者は考えているのだが、民官学が連携して知恵を絞り、広域的な利用がされる施設を造ってほしいと願っている。

◇      ◆     ◇

 多摩センター駅圏のマンションについてはその都度記事にしているのでもう書くこともなくなったが、多摩市の住民でもあるので、多摩センターのポテンシャルが極めて高いことについて触れたい。

 記者は街のポテンシャルを3つの要素でいつも計る。一つは宴会ができるホテルがあること、2つ目はデパートがあること(つまりそこに行けば何でも買えるということ)、そして3つ目は食を中心とする文化が充実しているとことだ。

 読者の方も、自分が住む街をこの3つのモノサシで計っていただきたい。3つ揃う街は、都心部はともかく郊外ではそうないはずだ。

 ところが、わが多摩センターはこの3つが揃っている。これは自慢できる点だ。一言で言えば都心の利便性と緑が共存する街だ。新宿まで30分だ。これほど街のポテンシャルが高く交通の便もいいのに、マンションの分譲単価はずっと低く抑えられている。同じクラスの街と比較して2割は割負けしていると思う。

 例えば、新宿などの都心ターミナルから30分圏といえば町田、清瀬、所沢、志木、武蔵浦和、新越谷、津田沼、あざみ野あたりか。

 これらの街で3つの要素が揃っている街は一つもないのがお分かりのはずだ。こんなことを言ってもみんな取り合ってくれないだろうが、3つの要件が揃っており、多摩センターと比べられる街は新浦安、浦和、大宮、千葉、柏、新百合ヶ丘くらいしかないと思っているが、どうだろう。いま人気の豊洲にも武蔵小杉にもホテル機能はないので、記者の評価もそれほど高くないのだが、単価がべらぼうに高いのはよくご存じのはずだ。

 多摩センターが割負けしているのは、デベロッパーにも責任の一端はあると考えている。街の価値を最大限に引き出す努力(企画力)が足りない。

 努力不足もあって、なかなか高値追求ができないのだ。今回のマンションも坪単価は200万円以下になるのは間違いなさそうだ。仮に新百合ヶ丘駅10分でマンションが分譲されれば、坪単価は250万円はするはずだ。次に書く東急東横線大倉山駅圏は坪200万円台の後半だ。

 にもかかわらず、今回も低く抑えられているのは戸数が多く、面積が広いこと、単価が一次取得層の取得限界に近いことが指摘できる。共用施設にはたとえばゲストルームはないし、設備仕様は取り立てて強調できるものはないのもそのためだろう。(このマンションのほかに、あるデベロッパーがサンリオピューロランドに近いところで分譲するが、坪単価は最低でも230万円はするはずだが…)

 しかし、多摩センターの街の魅力を加味すればものすごく割安だと思う。最近は自分も反省しているのだが、単体としての坪単価よりも共用部・住環境を含めたトータルな価値を計ることが重要だ。記者がマンションの販売担当だったら、共用部分の面積(レンタブル比、有効率)を広告に表示し、その価値を堂々とアピールする。 

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