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2015/11/30(月) 00:00

情報の十字路に立つ トータルブレイン・久光龍彦社長のアドバイス

投稿者:  牧田司

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久光氏

 1日2~3社、月にして約45社の不動産会社の社長・役員クラスと情報交換している、業界の名物男でマンションコンサルタント会社トータルブレイン・久光龍彦社長に話を聞いた。

 まだ1年を振り返るには早いが、久光氏は「価格競争に走らないで、安価で良質な住宅供給に力を注いではどうか」とデベロッパーに注文し、その一方で、ユーザーには「3P(プレイス、プラン、プライス)のうち今日ほどプレイスが重視される時代はない。立地にこだわらなければもっと快適な暮らしができる」と選択の幅を広げてはとアドバイスした。

 業界で久光氏を知らないというのは〝もぐり〟だろうが、その経歴を少し紹介する。久光氏は現在75歳。17年前に同社を立ち上げたのだが、それまで長谷工コーポレーション専務-長谷工不動産社長-長谷工アーベスト社長-長谷工コミュニティ社長を歴任している。

 いかに業界広しといえども、マンションの川上から川下まで、しかも先頭に立って活躍してきた人というのは久光氏以外にいない。「業界の名物男」と書いたのはそのためだ。

 75歳になって月に45社も回るというのもこれまたすごい。このうち定期的に回るのは15社くらいで、あとは2~3カ月に1回、半年に1回くらいのローテーションで回るのだという。「そりゃ情報の十字路に立っているわけですから神経は使いますし、いい加減な話はしません」という。

 多忙を極める久光氏に業界とユーザーに一言アドバイスを求めた。

 「デベロッパーには、価格競争に明け暮れているのはいい加減にしたらどうかといいたい。金利は安いが、景気はよくないし土地も建築費も高止まり。安価で良質住宅を供給するのが業界の使命のはず」と、もっと商品企画に力を入れるべきと話した。

 ユーザーに対しては、「プレイス、プラン、プライスの3Pが重要なのはわかりますが、50年この仕事に携わってきて、いまほどみんな立地に走っている時代はない。立地にこだわるから価格も上昇する。視点を変えれば快適な住宅が手に入る」と語った。

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◇       ◆     ◇

 久光氏を知らない業界人は〝もぐり〟と書いたが、久光氏の趣味が〝もぐり〟というのを知っている人はそれほど多くないかもしれない。しかも、潜っていなければとっくに〝鬼籍〟に入っていたかもしれないという〝奇跡〟の人でもある(このような失礼な駄洒落が通用するのも、久光氏がいたって元気だからだ)。

 正確に言えば、〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。

 久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。

 この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。

 奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。

 着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。

 このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」

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◇       ◆     ◇

 この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。

 「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。

 1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」

 「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」

 -「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。

 「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」-こんな話も久光氏はデベロッパーの幹部の人と話しているのだろうかと考えると、楽しくなってくるではないか。

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