ポラスグループの中央住宅は12月3日、「玄関の新しいかたちを考える」をテーマにした分譲戸建て「MIRAI’s 三郷中央nextstage『絆ぐ街。(ツナグマチ)』」のモデルハウス見学会を行った。
同社が2014年に開催した「学生・建築デザインコンペティション」に応募があった全458作品の中から東京工業大学大学院・児玉理文氏(25)の作品「斜め玄関の家」を選び商品化したもので、従来の分譲戸建てにはない斬新なデザインが特徴だ。
物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩9分、三郷市中央4丁目に位置する全10棟。土地面積は133.05~168.02㎡、建物面積は99.78~110.13㎡、価格は3,880万~5,180万円。構造は在来工法2階建て。引き渡し予定は2016年6月。11月13日から分譲を開始しており、これまでに8棟が成約済み。
見学会に出席した児玉氏は、「提案は平屋建てで、実家で平屋に住んだことがあるのもヒントにした。『玄関』といっても、家の奥行きとか居心地などなかなか言葉では表現しきれないところがあるが、このように実物件化していただき、世の中に発信することができたばかりか、実際に住んでいただけるのがとても嬉しい」と喜びを語った。茨城県出身で独身。
商品企画・設計担当の中央住宅 戸建分譲設計本部 営業企画設計一課 参事・鈴木往道氏は、「分譲戸建てには土地の制限があり、玄関を広くすれば他にしわ寄せがでるのでそのバランスをどうするかで苦心したが、児玉さんのコンセプトを極力生かした。このような和モダンが商品として評価されるか不安もあったが、売れ行きも好調で、プロジェクトとしては成功した」と話した。
また、「学生・建築デザインコンペティション」の責任者、ポラス人事部 部長・石田茂氏は、「就職戦線は売り手市場。同業との競合も激しく人材を確保するのが難しくなっている今、学生さんに新しいメッセージを発信する目的でデザインコンペを行った。応募作品の中から実物件化する意図は当初からあった。今後も継続して行っていく」と、継続して実物件化していく意向を示した。
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モデルハウスはよくできている。コンセプトの「玄関」「坪庭」の提案が斬新だ。西側のデザイン格子に面した部分に外部吹き抜けの坪庭が配されており、エントランスと坪庭が一体となった空間を演出しているのが特徴だ。「前庭」とも呼べるものだ。
西から入る光と風を縦繁障子越しにイグサ畳を採用した和室に取り込み、さらにリビングから南側の窓に抜けるように工夫されている。
1階リビングの床や階段はタモ材、壁は珪藻土の塗り壁「寂び土」、引き戸は高さ2.4m、階段ステップは16段、キッチンカウンターはナラ、メイプル材などが採用されている。
使用されている家具や照明その他のインテリアも分譲価格に含まれているので10棟の中で一番高い5,180万円だが、その価値は十分あると見た。
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驚いたのは同社のこれまでの三郷中央駅圏での分譲実績だ。2013年の第1次から今回の第11次まで201棟を供給しており、実に193戸を成約しているというのだ。今後も来年10月の第16次までトータルで293戸を供給するという。
三郷中央駅圏ではこれまで多くのマンションが供給されている。都心へのアクセスが比較的よく、総じて価格が安いことなどから売れ行きも好調だ。
しかし、商業施設の集積がいま一つで、駅周辺でも空き地が目立つ。戸建て分譲は容易でないと考えていたが、同社がこれほど多くの戸建てを供給し、売れ行きもいいというのは初めて知った。
なぜ売れるか。答えは簡単だ。埼玉県に限って言えば、劣悪な分譲戸建てが多すぎることにも一因はあるのだろうが、同社の商品企画は群を抜いているからだ。(外観デザインについてはもっと垢抜けたものにしてはと思うが、現に売れているのだから記者がいうべきことでないのかもしれない)