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2015/12/10(木) 00:00

企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)の活動に〝目からうろこ〟

投稿者:  牧田司

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「第3 回ACEフォーラム・表彰式」(イイノホールで)

 一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(略称:ACE = Accessibility Consortium of Enterprises、代表理事:橋本孝之・日本アイ・ビー・エム副会長)は12月8日、「第3 回ACEフォーラム・表彰式」を行った。

 清水建設代表取締役社長・宮本洋一氏、日本アイ・ビー・エムフェロー・浅川智恵子氏、慶應義塾大学教授・中島隆信氏がそれぞれインクルーシブな社会づくりに向けた企業の取り組みや経済学的に見た障がい者雇用について講演。会員企業に在籍する障がいのある社員の中からロールモデルとなるべき人材が表彰された。

 会員企業である積水ハウスからは総合住宅研究所・上野政一氏が準グランプリを受賞した。

 ACEは、「障がいというダイバーシティを活かした新たな価値の創造と企業風土の変革、そしてインクルーシブな社会の実現を目指し、企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立と、企業の求める人材の社会に対する発信を目的」とする法人で、設立は2013年8月。会員企業は26社。

 冒頭のあいさつで橋本氏は「われわれの活動はコンプライアンスやCSRといった従来の枠を超えた活動。みんな手弁当で論議し、社会のあり方、雇用のあり方の知見を広め、情報を発信し、日本を変える原動力になろう」と語った。

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準グランプリを受賞した積水ハウス・上野氏(左は橋本氏)

◇       ◆     ◇

 積水ハウスからの誘いで、存在すら知らなかったACEの取材をする機会を得た。

 宮本氏は自らの経験として、視覚障がい者の音に対する豊かな感性に触れ「目からうろこ」と話したが、浅川氏や中島氏の講演を聞いて、まさに「目からうろこ」だった。と同時に、障がい者に対して少しは理解があると思っていたが、余りにもの無知に恥じるばかりだった。

 ぐさりと胸を衝かれたのは中島氏が語った「差別とは何か」だった。中島氏は偏見による「ベッカー型」の差別や統計的な差別(問題行動を起こす確率が高い)のほかに、間接的差別があると指摘した。例えばわれわれが当たり前と考えている長時間労働は、子育てファミリーや障がい者を間接的に差別しているというのだ。

 また、改正された障害者雇用促進法は、福祉を「利用」する企業が出てくることや、施設化する恐れがある特例子会社の問題、効率的経営との矛盾などからいずれ大きな壁になり、立ち行かなくなる可能性を指摘。障がい者を配慮するコストが全然考慮されていないと批判した。

 さらに中島氏は、「すべての人が何らかの障がいがある。障がいは社会を映す鏡である。国民一人ひとりが自らが負担すべき配慮の経済的コストを自覚するべき」と話した。

 宮本氏と浅川氏は、双方が連携して点字ブロックのデメリットを解消する音声ナビケーションの開発・実用化に取り組んでいることを報告した。

 たしかに点字ブロックはなくてはならないものだろうが、健常者にとっては転ぶ障がいになりかねないし、点字ブロックそのものもつながって意味があるのにそうなっていない。試しに目をつぶって新宿駅周辺を歩いてみたが、10mも歩けなかった。最新の情報通信技術による音声ブロックの開発は劇的にわれわれの生活を変えるかもしれない。

 それにしても、ACEは障がい者の立場から自らの企業をしばるかもしれない障がい者雇用の問題を考えようとしている。大企業は経済合理性だけを考えるものだと思っていたが、考えを改める必要があると痛感した。

 ACEの会員は、住宅・不動産業界からは積水ハウスのみで、関連では清水建設、LIXILが、その他ではアサヒビール、KDDI、セコム、TOTO、日産自動車、富士ゼロックス、堀場製作所、明治安田生命保険、ヤマトホールディングス、リクルートホールディングスなどが名を連ねている。

 積水ハウスのサステナビリティレポート、ダイバーシティページは次の通り。

https://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/diversity/index.html
https://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/diversity/disabled/1/index.html
 

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