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2015/12/22(火) 00:00

新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気

投稿者:  牧田司

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「パークコート赤坂檜町ザ タワー」

 今年のマンション見学のおおとりはこの物件以外にない。三井不動産レジデンシャルの「パークコート赤坂檜町ザ タワー」だ。採用が決まった新国立競技場のA案を提案した建築家・隈研吾氏がデザイン監修した分譲全197戸が億ションで、しかもすさまじい勢いで売れた(未分譲は3戸のみ)、都心人気を象徴する今年の代表的物件だ。

 物件は、都営地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩7分、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩3分、港区赤坂9丁目に位置する44階建て全322戸(地権者住戸125戸含む、一般販売住戸163戸、事業協力者販売住戸34戸)。専有面積は57.61~203.96㎡、価格は1億4,920万~15億円。坪単価は1,000万円弱。入居予定は平成30年4月下旬。施工は大成建設。デザイン監修は隈研吾氏。

 最終分譲3戸は平成28年1月下旬の予定。価格は1億5,220万(57.61㎡)~5憶8,000万円(136.83㎡)。

 再開発手法による東京ミッドタウン・檜町公園に隣接した初のタワーマンションで、デザイン監修を隈研吾氏が担当しているのが最大の特徴。マンション南側からは眼下に公園が広がり、360度の都心の眺望が展開する。

 ミッドタウンと地続きのデッキでマンション3階エントランスとつなぎ、赤坂通りとは1階サブエントランスとつながっている。

 マンションを大きな1本の樹木に見立て、敷地内には竹林をはじめ四季折々の樹木、グリーンカスケードを配し、壁面緑化も図っている。エントランスは「土」がテーマ。挟土秀平氏のオブジェに水盤、土壁、天井和紙などで幽玄な世界を描いている。3階ラウンジにはいかにも隈氏らしい木調ルーバー天井に檜練り付け板とミラーの大和張り。

 建物は免振と制振を組み合わせ、屋上にはAMD(制振装置)を設置。「地層」「石・水」「大地」から「枝」「幹」「道管」「洞」「雫」「樹皮」「樹冠」をイメージした装飾デザインが施されている。外観フィンにランダムに配した光のライティングは照明デザイナーの岡安泉氏が担当する。

 モデルルームは、106㎡と157㎡の2つ。前者は同社の「千鳥ヶ淵」「麻布霞町」「千代田富士見」なども担当した鬼倉めぐみ氏が担当。天井高は2700ミリ、サッシ高は2400ミリ。自然石にガラス素材もふんだん用いている。R状のデザインをキッチンや織り上げ天井に採用しているのが特徴。

 後者は、鬼倉氏と同じ「千代田富士見」を担当した押野見邦英氏。天井高は3150ミリ、サッシ高は2700ミリ。桧垣文様とヒッコリーと呼ばれる北米の堅い木が多用されている。壁は職人仕上げの塗り壁。リビングダイニングは約36.4畳大、キッチンは約9.3畳大、マスターベッドルームは約25.2畳大。浴室は10畳くらいか。

 9月にモデルルームをオープンして以来これまで約1,100組の来場者を集め、11月から分譲開始。分譲163戸のうち160戸が分譲済みだ。

 同社開発事業本部 都市開発第一部 営業室主査・大栗裕樹氏は、「来場者の方は、ミッドタウンの隣にタワーマンションが建つとは思っていなくて、みんな驚かれる。ミッドタウンとつながっているランドスケープデザイン、さらには赤坂・六本木はまだまだ伸びしろがあると評価されており、これと隈さんのデザインがマッチしたのが人気の要因」と話した。

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屋上のグリーンキャノピー

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外壁のヒノキフィン

◇       ◆     ◇

 このマンションについては2年前、大和ハウスが東大に隈氏が設計した「ダイワユビキタス学術研究館」を寄贈したとき、隈氏から直接この「赤坂檜町」を担当することを聞いた。2年越しの恋が実ったような気分だ。このマンションを見学せずして年は越せないとも思っていた。

 もう少し早く見学したかったのだが、取材を申し込んだときにはお客さんが殺到しており、今回になってしまった。残りはあと3戸のみ。1月末に抽選分譲されるが、倍率がつくかもしれない。

 物件のすばらしさは言うまでもない。億ションは数え切れないほどたくさん見てきたが、これもまたいい。

 隈氏がデザイン監修するのは首都圏では「原宿」「神楽坂」「東池袋」に次ぎ4物件目。タワーマンションではこれが初めてだ。外壁に木調フィンを張ったり、板を1枚おきに重ねて貼る大和張り、ランダムに貼るガラスや木調ルーバーはいかにも隈氏らしいデザインだ。

 鬼倉氏が提案しているガラス製のアクセントウォールは黒か濃紺か得も言われぬ複雑な輝きがあった。照明類はバカラ、把手はスワロフスキー。

 押野見が提案している桧垣文様がいい。ヒッコリーを張ったキッチンは300万円でも買えないだろう。10畳大もある浴室は海外のラグュアリーホテルでは当たり前だそうだが、どのように使うのだろうかと考えてしまった。IHはガゲナウ社製で、カウンターとまっ平らで、鍋を置く位置を示す丸い線が入っておらず、どこでも置けばいいとのことだった。

 地権者住戸や事業協力者住戸を含め全322戸が1億円以上というのはわが国初だ。しかもわずか2カ月でほぼ完売というのもかつて例がない売れ行きだ。東京建物の「目黒」も霞んでしまうほど衝撃的なマンションだ。

 同業や一般の方は、さぞや外国人の購入が多いのではと考えるだろうが、大栗氏による意外に少なく、1割もないという。

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3階ラウンジ

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1階ラウンジ

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