RBA OFFICIAL
 
2015/12/24(木) 00:00

今年のベスト3マンション 三井レジ「赤坂檜町」 東建「目黒」 大成有楽「品川勝島」

投稿者:  牧田司

記者が選んだ 2015年 ベスト3マンション

三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」

東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」

大成有楽不動産・長谷工コーポ「オーベルグランディオ品川勝島」
 

 記者が選んだ「2015年 ベスト3マンション」は、三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」、東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」、大成有楽不動産・長谷工コーポレーション「オーベルグランディオ品川勝島」とした。今年新規発売された物件のうち記者が見学・取材した85物件の中から選んだ。「赤坂檜町」と「目黒」は今年のマンション市場を象徴する「都心人気」のエポックマンションで、「品川勝島」は、知名度がないエリアでいかに需要を喚起・創造するかの解決法を見いだした販売戦略が光った。

「パークコート赤坂檜町ザ タワー」

main_img3.jpg
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」

新国立競技場だけでない 「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)

 「パークコート赤坂檜町ザ タワー」は、2年半前に隈研吾氏がデザイン監修することを聞いて、ずっと注目していたマンションだ。

 詳細は別掲の記事を参照していただきたいが、東京ミッドタウン・檜町公園に近接するという絶好の立地条件にふさわしいタワーマンションだ。

 全322戸のうち一般分譲は163戸だが、地権者向け・事業協力者向け分譲住戸を価格に置き換えたら322戸すべてが1億円になるはずだ。億住戸の多さでは東建「目黒」の365戸には及ばないが、全住戸が1億円以上の物件としては、同社が一昨年に分譲した「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」の98戸を3倍も上回る。この記録を破る物件は出てくるのか。

 設備仕様では、これを上回る物件はたくさんあるだろうが、いかにも「和の大家」隈氏らしいランドスケープ・外観・共用部分デザインが美しい。隈氏デザイン監修マンションはこれで「神宮前」「神楽坂」「池袋」に次ぎ4棟目になった。新国立競技場に選ばれたことで、隈氏の知名度は全国区になった。未分譲3戸は年明けに分譲されるが、申し込みが殺到するのではないか。価格は公表済みなので、オークションにはならないはずだ。

 一般分譲163戸の販売総額は約432億円、一戸当たり平均価格は、東建「目黒」の倍近い2億6,493万円。坪単価は981万円。坪単価は都心のマンションの相場としてはほぼリーマンショック前の相場に戻したというところか。隈氏のプレミアと赤坂・六本木の将来性を考えれば、妥当な単価ではないか。それにしても9月のモデルルームオープンから半年で160戸の億ションが飛ぶように売れるとは…。都心人気は当分続くとみた。

「Brillia Towers 目黒」

MMSUa5000003042015_1_0_a5.jpg
「Brillia Towers 目黒」

東建、プレスリリース「目黒」の“億住戸が過去最多”に「定借除く」追加(2015/12/1)

今年前半の目玉マンション 「Brillia Towers 目黒」は坪600万円(2015/4/2)

「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE」は坪450万円(2015/4/24)

 「Brillia Towers 目黒」も記録的な売れ行きを見せた。今年4月以降のモデルルーム来場者は約1万組に達し、全分譲661戸(平均1億1,434万円)に対して最高倍率43倍、平均4.1倍の競争倍率で、しかもわずか4カ月で完売した。バブル時を彷彿させる狂乱人気だ。1億円以上の住戸も365戸に達し、定期借地権付きを除くと最多記録だ。

 記者がもっとも注目したのは価格設定だった。一昨年8月、同社が地鎮祭・記者発表会を行った。報道陣の関心事も価格がいくらになるかに集まった。同社担当者は口をつぐみ一切答えなかった。「400万円くらいではないか」という同業の記者もいた。記者はそんなに安くないとみて、坪500万円をはるかに突破すると読んだ。しかし、坪600万円はまったく予想できなかった。

 同社の値付けの巧みさには感服する以外ない。わずか10カ月で777戸が完売するとは夢にも思わなかった。いまだに信じられない。価格は信じられないが、ランドスケープは都心マンションでは突出した出来になるのは間違いない。

 「目黒」が坪600万円を付けたことで、都心マンション価格のメルクマールになった。都心人気に拍車をかけた、同社が果たした役割は大きい。

 個人的には、三菱地所レジデンスと共同で分譲した「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE(ブリリア ザ・タワー 東京八重洲アベニュー)」の商品企画レベルの高さに驚いた。こちらは一級品のマンションだ。

 同社はこれで2012年の「Brillia多摩ニュータウン」、2013年の「Brillia Tower池袋」に続き、近年では3度目の「ベスト3」入り。

「オーベルグランディオ品川勝島」

MMSUa5000013042015_1_0_a5.jpg
「オーベルグランディオ品川勝島」

大成有楽不・長谷工コーポ 「品川勝島」の契約者イベントに300名(2015/12/10)

安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)

 この2物件はすんなり決めたが、もう一つは選定に苦労した。都心の高額マンションばかりを選ぶのには抵抗を感じたし、話題性といえば、第1期の申し込みは地元より首都圏居住者のほうが多かった三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」もあるが、これも首都圏の物件でないので除外した。

 そこで選んだのが、「オーベルグランディオ品川勝島」だ。

 「品川勝島」を都心のマンションと見る業界関係者はまずいないはずだ。「勝島」がどこにあるかを知らない人も少なくないはずだ。記者は東京競馬場に近い倉庫街くらいの知識しかなかった。

 ところが、同社は、品川がリニアの始発駅となり、隣には「アジアヘッドクォーター特区」があることを広告などで前面に打ち出し、「品川」の物件であることを強調した。記者はシアターに〝新品〟が頻繁に飛び交ったのに面食らった。「シンピンって何だ」とずっと考えていたのだが、「新品」は「シンシナ」と読ますことをあとで知った。イメージ戦略に舌を巻くしかなかった。

 販売事務所の設営もいい。カフェスタイルにして入りやすくし、コーヒーは“コーヒーメーカーのフェラーリ”と呼ばれる「LA-CIMBALI(ラ・チンバリー)」製を採用していた。コミュニティ支援の取り組みもアピールしていた。

 販売が好調に推移しているのは別掲の記事の通りだ。ここで強調しておきたいのは、同社は予定価格を早めに公開し、ユーザーが物件選びをしやすくしていることだ。価格を分譲間際まで伏せるのは詐欺行為とは言わないが、消費者を馬鹿にしていると思う。改めるべきだ。

 さて、同社のこうした販売戦略は奏功したのかどうか。契約者の現居住地を見ると、ずばり的中したことがよくわかる。

 もっとも多いのが地元品川区の20.3%で、以下大田区10.4%、港区4.1%、横浜市全体6.0%、川崎市全体4.0%、江東区2.2%となっている。地元品川区だけで20%、隣接の大田区を合わせても30%強で、70%はそれ以外だ。首都圏広域からまんべんなく集客し、契約もそのように推移している。これは、圧倒的な価格の安さという物件の力、武器があるからこそだが、トータルな営業戦略が奏功した結果だ。見事というほかない。

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン