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2016/01/07(木) 00:00

「消費税の動向に左右されない負担軽減を」 不動産協会・木村理事長

投稿者:  牧田司

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挨拶する不動協・木村理事長(ホテルオークラ別館で)

 不動産協会(理事長:木村惠司・三菱地所会長)と不動産流通経営協会(略称:FRK、理事長:田中俊和・住友不動産販売社長)は1月6日、合同の新年賀詞交歓会を開催した。アベノミクス効果が出てきたためか、参加者は例年より多い1,150名(昨年は1,050名)にのぼった。

 冒頭、挨拶に立った木村・不動産協会理事長は、バブル崩壊後20数年が経過したことで社会構造が変わり、非正規雇用の増加による中間層のレベル差、企業の国際競争の激化、国内需要の伸び悩み、労働力不足などの問題に対し、「これから先は今までの価値観では済まないことを念頭に置きながら、デフレ脱却、持続的な経済成長、希望が持てる社会の実現に向けて政官民が力を合わせて努力しなければならない」とし、「経済成長の面で住宅の安定的な投資が不可欠であり、合わせて大都市の競争力をつけ地域の活性化が大事な問題になってくる」と、業界の役割が大きいことを指摘した。

 また、昨年末の税制大綱では「ほぼすべて要求が認められた」ことを受け、これから先の施策・住宅着工動向などを注視し、住宅が成長をけん引することに貢献していくためにも状況によっては幅広い観点から機動的な政策を行っていただきたいと国に求めた。

 消費税については「消費税の動向に左右されない安定的な負担軽減も求めていく」とした。

 不動産協会では、社会構造の変化を受け、「これから先2025年、2030年の将来を見据え大都市や住宅はどうあるべきかについて政策提言をまとめている」とし、「大都市」「街づくり」「ストック形成」についてそれぞれ方向性を示した。

 「大都市」については、「大都市は持続的な成長、豊かな社会を実現する原動力であり、海外からヒト・モノ・カネ、情報、企業が集まりイノベーションできる場とし、グローバル競争に勝っていくためにも施策をスピーディに展開することが重要であり、ハード・ソフト両面での環境整備が必要」と述べた。

 「街づくり」では、子育て・就労、健康保持の構築が喫緊の課題であり、業界は街づくりを通じて政府が進める「一億総活躍社会」の実現に貢献していく必要性を強調した。

 「ストック形成」では、良質な新築住宅を供給するとともに、既存住宅はリノベーションなどを図りながら「多種多様なニーズに応え、日本の安定的持続的な成長と、国民が将来に希望の持てる社会の実現に向け邁進していく」と決意を述べた。

 乾杯の音頭を取った田中・FRK理事長は、「足元の不動産流通市場は昨年春以降2ケタの伸びを見せており、新税制は市況を下支えするはずで、我々は安心・安全の取引を通じて消費者に喜んでいただくよう取引の透明性を一層高め、流通市場の活性化のために創意工夫を凝らし一丸となって取り組んでいく」と話した。

 賀詞交歓会には石井啓一国交相など30名を超える国会議員も詰めかけ盛大な会となった。

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挨拶するFRK・田中理事長

◇       ◆     ◇

 岩沙弘道・不動産協会会長(三井不動産会長)がデフレ脱却に並々ならぬ決意を披露した。

 「今年の干支は丙申(ひのえさる)。前回60年前の丙申は〝もはや戦後ではない〟と言われた年だったように、今年こそデフレ脱却を宣言できる年にしなければならない。アベノミクスの果実は実りつつある」とし、「経済と消費の好循環を実感できるよう多様な雇用・働き方ができる取り組みをしっかりやっていくことが大事」などと述べた。

 「大手デベロッパーは地方の再生・活性化に消極的ではないか」という記者の質問に対しては、「都市と地方を対立軸として考えるべきではない」とし、「地方の活性化にも(当社は)しっかり取り組んでいますよ」と話した。

 来賓としてあいさつした野田毅・自民党 税制調査会最高顧問が気の利いた発言をした。税制改正では「私は90点くらいだと考えていたが、木村さんや岩沙さんからは『120点くらい』と評価された」と会場を笑わせたあと、「消費増税の反動などに過剰に反応することが海外からも批判される。われわれ日本人は合成の誤謬に陥っている。ビヘイビアを注意しなければならない」と語った。ミクロ、マクロ両面から物事を考えないといけないということだ。

 公明党の井上義久幹事長は「地方都市にも目を向けていただきたい」と業界に注文した。

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岩沙会長

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