「ザ・パークレックス東陽町」
三菱地所レジデンスは1月26日、中小ビルのリノベーション賃貸事業「Reビル事業」で初の社宅を一棟リノベーションした「ザ・パークレックス東陽町」の工事が完了したことに伴いプレス内覧会を行った。
「Reビル事業」は、築年数が経過して競争力を失った中小既存ビルなどを同社が一括賃借し、同社負担で耐震補強などを含むリノベーション工事を実施したのち、一定期間(概ね10~15年)転貸して投資資金の回収とバリューアップした転貸収入を確保したあと、オーナーに返還。リノベーション企画にあたっては、同社の子会社メックecoライフが主導して計画を練り、設計については、主にオープン・エー(代表取締役の馬場正尊氏は「東京R不動産」の共同創設者)に委託。ニーズを的確に捉えた物件に改修するというスキーム。
2014年に立ち上げ、これまで東京・丸の内の後背地で5棟が竣工。竣工したばかりの2棟を除く3棟は100%稼働。事業推進中が約5棟、検討中が約10棟ある。オーナーの希望によってはマスターリースだけでなく、買い取りも行い、対象物件も住宅、倉庫などにも広げていくことを検討しているという。
今回の物件は、東京メトロ東西線東陽町駅から徒歩13分、江東区千石2丁目に位置する地下1階地上5階建て全10戸。完成は昭和56年。NTT東日本が幹部社宅として使用していたもので、転貸人はテルウェル東日本。同社が転々貸人となる。1坪当たりリノベーション費用は約20万円。
敷地北側に公園・小学校があり、敷地面積約202坪に対して延べ床面積が約380坪とゆったり建てられていること、さらには新耐震基準で建設されていること、共用部にはピロティ・ポーチ、専用部にはサンルーム・多くの共用収納があることなどの特性を最大限に生かすため「子供と共に成長する住まい」をテーマに子育て世代にターゲットを絞っているのが特徴。月額賃料は18万円前後を予定している。
内覧会に臨んだ同社資産活用室兼メックecoライフ常務取締役・明嵐二朗氏は、「ヒアリングの結果、〝困っている〟〝バリューアップできない〟というオーナーがたくさんいる。われわれがリスクを負うことで、事業が環境負荷の低減や耐震化促進につながり、エリアの活性化が確実にできることを実感している」と話した。
飾れるポーチ
階段室
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「Reビル事業」は立ち上げたばかりで、1兆円もある三菱地所グループの売上比率からすればコンマ数パーセントにしか過ぎないはずだ。
しかし、デベロッパーの事業すべてが〝ソリューション〟ビジネスであるという観点からすれば、「Reビル事業」は同社の将来を左右する先導役となると記者は確信している。地域の課題を徹底して掘り起こし、ビルやマンション事業に生かしてほしい。地方の再生にも取り組んでほしい。
明嵐氏は「東京・丸の内の後背地にはバリューアップできなくて困っているオーナーがたくさんいらっしゃる。しかし、どうしていいかわからない、投資リスクが獲れないということが大きな壁になっている。わりわれがリスクを取ってバリューアップし、地域の活性化に貢献する」と力を込めたが、とても頼もしく見えた。
昨日は三菱地所の全面広告が朝日新聞と日経新聞に掲載されていた。ビルのイラストを背景にして杉山博孝社長の全身像が大写しされていた。デベロッパーの社長が広告や記事で大写しされたものはたくさんあるが、全身像というのは記憶ない(体形からいって絵になる社長はほとんどいなかったこともありそうだ。杉山氏はその点、身長175センチはありそう)。
昨日の杉山社長の全身像と今日の明嵐氏の姿をだぶらせて眺めていた。かっこいい。明嵐氏は同社野球部の主砲も務めていた。
カスタマイズできる壁
育てるガーデン