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2016/02/01(月) 00:00

スウェーデンハウス 同社初のサ高住 「大多喜」オーナーは順天堂大駅伝の総監督

投稿者:  牧田司

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「大多喜ガーデンハウス」

 スウェーデンハウスは1月29日、同社初のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「大多喜ガーデンハウス」が竣工するのに伴い報道陣に公開した。

 断熱性能UA値が0.38W/㎡・k(寒冷地の基準は0.87で、数値が小さいほど断熱性能が高い)で、気密性能C値が0.83c㎡/㎡(寒冷地基準は5.0で、数値が小さいほど気密性能が高い)という高気密・高断熱が特徴で、欧州アカマツが腰壁などにふんだんに採用されている。

 同社取締役営業本部長・鈴木雅徳は、「高気密・高断熱の性能には自信あった。もう少し早くやるべきだった。今回の受注でサ高住のノウハウも蓄積できた。これから非住宅の分野にも力を入れていきたい」などと挨拶した。

 物件は、千葉県夷隅郡大多喜町に位置し、建物は木造2階建て延べ床面積約984㎡。居室数は25室(19.22~19.54㎡)。月額賃料は約20万円(食費込み)。

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建物内(腰壁はすべて欧州アカマツ)

◇    ◆   ◇

 セレモニーが始まる前だ。ストラップ付の眼鏡をかけ、「7」と「5」のデザインをあしらった赤と紺のストライプのネクタイを締めた白髪のお年寄りが現れた。報道陣を睥睨するように会場を見渡したあと、いきなり「どーも、どーも」と声を発し、正面に据えられた椅子に座った。それは威風堂々の言葉がぴったりの、全身にオーラをみなぎらせた姿だった。

 いったい何が起きたのかわからずあっけにとられていると、司会者からそのお年寄りがサ高住のオーナーの川崎病院・宮野武理事であることが紹介された。

 宮野氏の独演会はすぐ始まった。

 「どーも、皆さん。レインボーブリッジを通り、アクアラインを渡って、さらに山奥の、私も若いころは全く知らなかった『大多喜』というこんな田舎によくおいでくださった…徳川家康の四天王の一人、本多忠勝が築城したところで…千葉県にはここと佐倉しか城はない…」「わたしはこの土地を愛しています。私どもの病院は祖父が明治40年に始めて108年間、この田舎で、僻地で営々とつないできた」などと街と病院を紹介。

 「5年前、女房の『二人で木の家に住もう』という提案で、スウェーデンハウスの家を建てた。大満足。真冬でもコタツが要らない。:そのころサ高住を作ることを考えた。数か所見て回ったが、どこも魅力的でなかった。お年寄りを収容すればいい、隔離しておけばいいというものではない。要介護度の高い方は私どもの老健に移ってもらって、ここは要介護度が1から2の低い入居者と一緒に酒を飲み、コミュニティを作るのが目的だから、楽しくなるような建物でなくては具合が悪い。そこで、夏涼しく冬暖かいスウェーデンハウスにすることを決めた。場所も街中に建てることを決めた。スーパーも学校もすぐ近く」

 「私は赤ちゃんのプロで、戦後、錦糸町の貧民街で次々生まれる赤んぼうや貧しい子どもたちの医療に携わった。全くカネと縁がない。儲からない仕事には慣れている。町内だけで入居者を埋めるのは難しい。ぜひこのサ高住を宣伝していただきたい」

 「今日は(小雨が降る)寒い中、おいでくださった皆さんも温かいということを実感されたはず。どうです、結露も全くない。とてもいい日によくいらっしゃいました」

 これで終わりではない。何やらパンフレットを取り出し、「私は40年間、朝5時に起きて駅伝に応援に行っている。総監督にも5年前就任した。今年は6位に入賞した。わたしが死ぬまでに優勝させたい」と、順天堂大学のJ友会会長・駅伝強化担当理事であることを自ら紹介。同大の駅伝パンフレットを報道陣に配った。

 宮野氏の独演会に完全に主役の座を奪われた鈴木本部長は苦笑するしかなかった。

 後で聞いたら宮野氏は75歳。ネクタイのデザインの謎が解けた。順天堂大の名誉教授でもある。

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宮野氏

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宮野氏のネクタイ

◇    ◆   ◇

 東京駅から高速バスで約80分。千葉県大多喜町は、天然ガスが出るところということは高校の教科書に書かれていたので地名だけは知っていた。福島県の大喜多と間違えないようにしていた。

 しかし、この町は天然ガスだけでないことはすぐわかった。「ゴルフ銀座」(宮野氏)と呼ばれるほどゴルフ場が多いところとして知られているようだ。いたるところにゴルフ場の案内看板があった。町内には5カ所のゴルフ場がある。鉄筋造の大多喜城もあるように城下町として栄えたようだ。

 そんな町にどうして同社のサ高住があるのか、その理由は先に書いた。記者も同社の建物を真冬に見学するのは初めてだったが、ほとんど瞬時にして建物の特徴を理解した。宮野氏が「大満足」と語った通りだ。

 外断熱の戸建て・マンションとほとんど同じだ。心筋梗塞と脳卒中による死亡率は1月と2月を中心とする冬季がもっとも高いが、少なくともこの建物は専用部分と共用部分の温度差はほとんどない。「温度のバリアフリー」が実現されている。

 来年の駅伝は順天堂大を応援しようかしら。

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廊下に掲げられたモネの庭園と思われる写真(宮野氏が直接撮られたもので、全部で50点くらいあった。写真は宮野氏の趣味のようだ)

 

 

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