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2016/03/08(火) 00:00

あれから5年 被災地の人口減に歯止め 39市町村のうち22市町で前年比増

投稿者:  牧田司

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 東日本大震災から間もなく5年が経過する。仙台市を中心とする一部の市町を除き、一貫して人口が減り続いていた太平洋岸の被災地人口が初めて増加に転じた。2万人ともいわれる復興事業に従事する人と、その関連の関係者などが数値を引き上げた可能性も大きく、定住人口が増加に転じたと結論づけることはできないが、明るいデータではある。

 別表は、東北3県の推計人口調査をもとに太平洋岸の39市町村の人口動態をみたものだ。平成28年2月現在のエリアの総人口は約254.7万人で、昨年同月の約251.5万人より1.3%、3.2万人増加。一昨年の水準にほぼ戻した。

 市町村別では、39市町村のうち過半以上の22市町村で増加。昨年の調査では、人口が前年比で増えたのは仙台市とその周辺の多賀城市、名取市など4市にとどまったが、今年の調査では、減少したのは17市町村にとどまり、大きく様変わりしている。

 増加率が高いのは8.8%増の相馬市を筆頭に洋野町(7.5%増)、いわき市(7.1%増)、新地町(6.7%増)、大槌町(6.5%)など。減少率が高いのは広野町(14.0%減)、南三陸町(10.5%減)、南相馬市(9.3%減)、女川町(8.0%減)など。

 震災前との比較では、増加しているのは利府町(5.6%増)、名取市(5.1%増)、仙台市(3.5%増)、いわき市(2.2%増)など6市町。減少率が高いのは女川町(37.7%減)、南三陸町(30.6%減)、山元町(26.7%減)、広野町(20.8%減)、大槌町(18.9%減)など。13市町が2ケタ減少している。39市町村全体では震災前より1.9%、約4.8万人減少している。

 ◇       ◆     ◇

 推計人口は、国勢調査人口に住民基本台帳に基づく日本人及び外国人の自然増減、社会増減を加減して算出したものだ。表中の今年2月の推計人口は昨年10月に行われた国勢調査のテータがもとになっており、昨年2月の人口は平成22年の国勢調査のデータがもとになっている。もととなるテータが異なるので、正確な比較ではないことを断っておく。

 また、住民登録されている住民基本台帳人口(住基人口)とも異なる。学生などは住民票を移動せず、大都市に移り住むケースが多いので、大都市ほど推計人口が多くなる傾向がある。

 仙台市を例にとると、同市の今年2月の推計人口は約108.3万人だが、住基人口は約105.6万人となっており、その差は約2.6万人もある。 

 この約2.6万人がどのような人かはわからないが、震災復興にかかわる仕事で市外からの転入者が多数含まれることは容易に想像がつく。同じように、前年同月比7.1%増の約34.9万人のいわき市の昨年1月の住基人口は約33.3万人だ。約1.6万人の差がある。

 逆に郊外部の被災地は推計人口より住基人口のほうが多い傾向を示している。南三陸町の推計人口は約1.2万人だが、住基人口は約1.4万人だし、石巻市も推計人口が約14.7万人なのに対し住基人口は約15.0万人だ。

◇      ◆     ◇

 被災3県の沿岸地域の人口減少については、朝日新聞が1カ月くらい前の記事で、10年前の人口から大きく減少していると報じた。その記事を読んで、10年前と今を比較するのが適当かと疑問を覚えた。1年前と比較して増加に転じたことを証明(データをそのまま転記しただけだが)できたことがうれしい。転機には違いない。この動きを加速させることが大事だ。がんばれ被災地!

震災から4年、「希望」はあるのか 陸前高田に見る復興事業(2015/3/4)

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