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2016/03/22(火) 00:00

内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上 慶大・伊香賀教授が実証

投稿者:  牧田司

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講演する伊香賀教授(スウェーデン大使館で)

スウェーデン&スウェーデンハウスのイベントで報告

 スウェーデン大使館は3月7日~20日、森林をテーマとするイベント「Treasures of the Forest ~森のタカラ、未来のチカラ~」を開催したが、その一環として16日に行われた、わが国で唯一「スウェーデン」を企業名に用いているスウェーデンハウスの協賛イベンドを取材した。

 当日は、スウェーデン大使館駐日大使 マグヌス・ローバック閣下がご来席。開会の祝辞として「木の家に住むことで健康になる元気になることは明らか。重要なのは森林を大切にし、木の家を都会に普及させること。その点で、わが国の森の恩恵を一番受けているのはスウェーデンハウスにお住まいの方ではないか。セミナーの成功を願っている」と話された。

 スウェーデンハウス社長・岡田正人氏は、「スウェーデンから名前をいただいている日本で唯一の会社としてイベントに参加させていただき、このような施設(Alfred Nobel Auditorium)を使わせていただいてとても感謝している。大使閣下からはお褒めの言葉をいただいたが、住みよい心地よいスウェーデンの住宅を供給するのがわが社の使命。これからも頂いた宿題に応えていく」と挨拶した。

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Alfred Nobel Auditorium

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スウェーデン大使館駐日大使 マグヌス・ローバック閣下

◇       ◆     ◇

 イベントは2部構成で、1部では同社取締役営業本部長・三宅英仁氏、開発部副部長・織田茂氏、開発部グループリーダー・内藤佳之氏が同社の事業概況、ZEHの取り組みなどを紹介し、2部では慶大教授・伊香賀俊治氏が「データで読み解く健康な住まい」と題して講演を行った。

 1部の内容については省略する。同社が建てた千葉・大多喜のサ高住は素晴らしい。「2016オリコン日本顧客満足度ランキング」で2年連続してトップになったのもよくわかる。

 百聞は一見に如かず。同社の住宅・建築物がどれだけ快適であるかを肌で感じさせることができるかが成長のカギを握っている。

 その後押しをしたのが伊香賀氏だ。伊香賀氏は1時間30分の間に、長年にわたって研究されてきた貴重なデータを示した。10はくだらなかったと思う。これを一つひとつ紹介したら記事を書くのに半日どころか1日でも足りない。

 エッセンスだけ紹介する。もっとも新しい調査・研究の成果は、伊香賀氏とナイス、横浜市の共同プロジェクト「スマートウェルネス体感パビリオン」での実験テータだ。伊香賀研究室は内装を木質化することで熟睡時間が木質化ゼロの室内より13~17分(木質化ゼロを100とした場合12~16%増)長くなり、知的生産性も7.0~8.2ポイント(同16~18%増)もアップすることを実証した。

 このほか、高断熱住宅が健康寿命を4歳延伸すること、断熱と暖房使用で身体活動が1日当たり約1400歩促進された新居浜市の実証実験結果、断熱工事に100万円投資すれば、光電熱費だけでなく健康維持の便益を考慮すれば16年で投資は回収できることなどを報告した。

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スウェーデン大使館中庭(外壁には木材が用いられている)

◇       ◆     ◇

 伊香賀氏が示した「日本でも温暖な県ほど冬の死亡増加」というタイトルのデータには異論を唱えざるを得ない。

 伊香賀氏は冬の寒さに備える高気密住宅の普及力を示しながら説明したもので、冬季の死亡率が47都道府県でもっとも低い北海道や2位・青森、4位・新潟、5位・秋田などの普及率が高く、温暖エリアの広島(7位)は県の医師会の寒冷に対する注意喚起の取り組みも大きいとした。沖縄が3位というのは、そもそも冬季でも寒くないからだろう。岩手県が中位くらいなのも、青森などと比較して高気密住宅の普及は進んでいないのだそうだ。

 一方で、冬季に中央山脈の影響を受ける栃木県(ワースト1)や茨城県(同2位)、山梨(同3位)というのもよくわかる。栃木の冬の寒さは身に染みている。掻巻(かいまき)を着ないと冬は眠れない。朝起きるとトイレ、水道の水が氷る。それだけ冬の寒さに対する対応がされていない住宅が多いということだ。栃木、茨城、山梨は火災が多い県でもある。寒さ対策、火災予防をあまり考えない県民性のようなものがあるのかもしれない。

 ではわが故郷・三重県がワースト5位にランクされているのはなぜか。静岡県もワースト7位だ。これは合点がいかない。「伊勢乞食」と言われるように気質が穏やかなのは間違いないが、冬の寒さに耐えられないほど体力がないとも思えない。ならば「近江泥棒」の滋賀県もどうしてワースト8位なのか。「泥棒」も「乞食」も寒さには弱いということでは一緒なのか。

 さらに不思議なのは、居住水準がもっとも高い北陸3県では、石川県が8位で、富山県は24位、福井県は35位だ。この差もわからない。沖縄とは環境が異なるのだろうが、鹿児島がワースト6位というのも解せない。

 そんなこんなの疑問から、「先生、わたしは室内温度もあるかもしれないが、それより食生活、労働などからくるストレスなどの複合的要因が大きいのではないか」と質問した。

 伊香賀氏は「おっしゃる通り、塩分の取りすぎなども影響があることが分かっている。今後、医学的な知見も踏まえ研究を続けていく」と話した。栃木県の冬がものすごく寒いことでは意見の一致を見た。

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伊香賀氏が示したデータ

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左から町田ひろ子氏、マグヌス・ローバック閣下、岡田社長

 

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