三井ホームは4月6日、18世紀フランスの上流階級を中心に広まったサロンを現代のライフスタイル風にアレンジした新商品「VENCE(ヴァンス)」を4月7日から発売すると発表した。
「VENCE(ヴァンス)」は、フランス南部コートダジュールに隣接した地域の名称により命名したもので、新商品は自宅での趣味や教室に、また友人を招いておもてなしをする空間として「サロンのある暮らし」を提案している。
インテリアには、ニュースタイルコレクション第4弾「Modern Rococo Style(モダンロココスタイル)」を提案。18世紀のフランスで流行したロココ様式を現代風にアレンジしているのが特徴で、優美で繊細なデザインになっている。
発表会に臨んだ同社営業推進部長・尾川由紀智氏は、「女性の社会復帰が大きなテーマの一つになっているが、女性が趣味を通じて、あるいは仕事につながる、さらには自己実現を達成するための空間として『サロン』を提案した。港北ニュータウン、名古屋、伊丹の3カ所にモデルハウスをオープンしたが、すでにそれぞれ100件以上の来場がある。多くの女性に支持されている」と話した。
また、商品企画部長・天池英男氏は「究極のエレガントさを追求したモダンでアーティスティックな住宅」とアピールした。
販売エリアは沖縄を除く全国で、プロトタイプ(延べ床面積232.54㎡)の坪単価(消費税抜き)は95万円。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー)にも対応可能。販売目標は年間150棟。
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横浜市営地下鉄中川駅すぐにある「ハウスクエア横浜」に設けられているモデルハウスを見たとたん、前夜の酒の酔いが醒めるどころか、一挙に酔いがぶり返してきた。それほど衝撃的なデザインで、〝シンプル・イズ・ベスト〟だと思っている記者にはまったく理解できないものだった。唖然として声も出なかった。写真を見ていただくしかない。
しかし、このようなデザインにほれ込む女性が少なからずいそうなことは十分理解できる。
ターゲットはアッパーミドル・富裕層だ。年収が数千万円以上のこのような層は全国に数十万人いる。このうち「Modern Rococo Style」を無条件に支持する女性は10%もいないだろうが数%はいる。そのうちの1%の女性の心を捉えれば、同社の年間販売目標に届く。
それは可能だと読んだ。なぜか。話は横道にそれるが、ある約200戸の郊外マンションの人口比率を調べた。このマンションは富裕層が住むマンションではないが、男女の比率はわが国のそれと同じように女性のほうが多いのだが、56歳~65歳の男女比は何と1:2になっている。
これは離婚などによる離別ではなく、夫が単身赴任などによって一時的に不在している結果だと思われる。なぜなら、65歳以上になると男女比は再び50:50くらいに戻るからだ。
この年齢層の女性は、もちろん仕事をしている人も多いのだろうが、子育てが終わり、夫も留守なのだから時間だけは十分ある。その時間を習いごとなどに充てるのは容易に想像できる。
同社が狙っているのは間違いなくこのような層だ。〝亭主元気で留守がいい〟そのものだ。発表会で、他の記者の方が「夫はどうするんだ」と聞いたが、この種のサロンは夫がいない平日に利用するのだろうということは記者でもわかる。
デザインも完全に女性主導だ。男の居場所などない。それだけ奥さんにやさしい、あるいは無関心のご主人向きの住宅でもある。
モデルハウスは造作家具などを含めて1億2,000万円くらいだそうだ。坪単価1,000万円の三井不動産レジデンシャル「赤坂檜町」(分譲199戸)や坪単価600万円超の東京建物「目黒」(分譲661戸)が瞬く間に売れる時代だ。昨日見学した東急不動産の「横浜」は坪単価410万円だが、こちらも圧倒的な人気になる可能性が高い。「このモデルハウスがほしい」という女性がいても不思議ではない。ものすごく安いと思う。
それにしても、「究極のエレガントさを追求した」と語った天池氏は、記者と対極の好みの人のようだ。このモデルハウスをイメージキャラの菅野美穂さんは理解を示すかもしれないが、かつてのイメージキャラの吉永小百合さんは腰を抜かすのではないか。