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2016/04/07(木) 00:00

CLTとツーバイフォー6階建て実験棟が完成

投稿者:  牧田司

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「つくばCLT実験棟」

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「ツーバイフォー6階建て実大実験棟」

 日本CLT協会、日本ツーバイフォー建築協会、建築研究所の3者は4月7日、茨城県つくば市の建築研究所内に完成した「つくばCLT実験棟」と「ツーバイフォー6階建て実大実験棟」の見学・説明会を行った。CLT協会・中島浩一郎会長、ツーバイフォー協会・市川俊英会長、建築研究所・坂本雄三理事長が出席し完成を祝った。建物は双方とも国土交通省の補助を受けている。

 「つくばCLT実験棟」は、CLT (Cross Laminated Timber Association)パネル工法による2階建て延床面積1660㎡。構造材には、スギの集成材を直交するように交互に重ねあわせ接着した厚さ90~210ミリの大判パネルを採用。難点とされていた接合部も金物の開発により問題を解消。高さ6mの通し柱を実現し、建物の2階テラスを3m跳ね出すことで1階のピロティ空間を確保しているのが特徴。

 「ツーバイフォー6階建て実大実験棟」は、地上6階建て延床面積206㎡。6階建てはわが国初で、6階建てに必要な2時間耐火壁・床を実現した。先導的な技術開発を行うとともに様々な実証実験を行い、高層建築物の木造化につなげる目的で建設された。

 今後、双方とも建築研究所と共に性能検証や設計法の開発を行っていく。

 説明会で挨拶した日本CLT協会会長・中島浩一郎氏(銘建工業社長 )は、「今年4月1日の建築基準法告示により、CLT構造による建築が可能になった。CLT元年といえる。新しい木造時代を前に進めたい」と語った。

 また、日本ツーバイフォー建築協会会長・市川俊英氏(三井ホーム社長)は、「ツーバイフォー工法がオープン化されて40年が経過し、累計の建設戸数は約220万戸に達した。建て方のシェアも13%の伸び、住宅だけでなく福祉など非住宅も実績を伸ばしつつある。6階建ての完成は一層の発展にとって意義のあるもの。1~2年先には6階建てを実現したい」と、6階建ての建築に意欲をみせた。

 説明会には、木造建築に理解のある国会議員の金子恭之氏、鈴木義弘氏、前田武志氏、高野光二郎氏が来賓として駆けつけ挨拶した。

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CLTの玄関ドア(左)と6m通し柱

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CLT 2階(天井高は4m)

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CLT構造材と金物

◇       ◆     ◇

 木造ファンの記者も完成を喜びたい。ツーバイフォーはこれまでも3階建て、4階建て、5階建て(1階はRC)を見学しているので驚きはさしてなかったが、2時間耐火のために床、壁、開口部に3層のボードを重ねていたのには考えさせられた(ここまでやる必要があるのか)。

 いつも言っていることだが、一つだけ注文を付けたい。外壁は屋上の一部に木製パネルを使用していたが、やはり目立つところに木を使ってほしかったということだ。地球にやさしい、人にやさしい木が持つ本来の機能と美しさをサイディング(今回は窯業系だが)でどうして覆い隠さないといけないのか。これは木造を鉄やらコンクリの土俵に立たせる自殺行為だ。

 CLTは文句なしにいい。外壁を現し(あらわし)にしており、内部はほとんどすべてが岡山県の国産材スギを使用している。CLTの普及に努力されてきた、今回の建物でもパネルを生産した銘建工業の中島社長の挨拶は、われわれ報道陣の位置が最後列だったためよく聞き取れず表情も読めなかったが、「CLT元年」という言葉に象徴されるように万感の思いが込められていたはずだ。

 施工を担当した木村建造のスタッフが、「私たちが建てた。木はわれわれも楽しくさせてくれる」と話したのがとても印象的だった。

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ツーバイフォーのサッシ部分(左)と2時間耐火外壁仕上げ

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ツーバイフォー 2階のCLT床(厚さは210ミリ)

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説明会場(建築研究所本館で)

わが国初のツーバイフォー6階建て実験棟 完成へ(2016/2/4)

 

 

 

 

 

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