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2016/05/12(木) 00:00

「消費増税すべき」木村、岩沙氏/「増税は最悪」ライフ清水会長 不動協が懇親会

投稿者:  牧田司

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木村氏(左)と岩沙氏(ホテルオークラで)

 不動産協会は5月12日、第56回定時総会後の恒例の懇親会を開催した。冒頭、挨拶した同協会・木村惠司理事長は現況の社会・経済状況について触れ、「経済は調子がいいような悪いような、格差や需要の問題など大きな課題を抱えており、曲がり角にあるという印象を受けている」と話し、同協会としては今年3月に発表した「大都市および住生活のあり方に関する提言」を具体的に進めていくことが重要とし、大都市の国際的な競争力の強化と地方の活性化などの街づくり、良好な住宅ストックの形成、不動産を所有・取得することの優位性が保たれる税制などについて取り組んでいくと語った。

 消費増税については、「どうなるかわからない。早めに決めていただき、軽減措置など対応もきちんとしていただきたい」と、消費増税を実施すべきとの考えを示した。

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懇親会

◇       ◆     ◇

 取材の目的はただ一つ、消費増税を断行すべきなのか、それとも見送るべきなのかをデベロッパー各社のトップに聞くことだった。アンケート用紙をつくり、片っ端から聞くことも考えたが、同僚の記者から「止めたほうがいい」と言われ、それは断念したのだが、同協会・木村理事長と岩沙弘道会長からは必ずコメントを取ろうと出かけた。

 木村理事長は挨拶では「早めに決めていただいて」と話すにとどめ、明言は避けたが、記者には「実施すべき。ここでやらないと。先送りしても5年、10年にはまた問題が浮上する」と、実施すべきと話した。

 岩沙弘道会長も、「景気対策を立てたうえで実行すべき。財政が厳しいのは論を待たない。政府が国際公約として掲げているプライマリーバランスの黒字化は喫緊の課題」などと語った。

 また、岩沙会長が今年の同協会賀詞交歓会で「今年はデフレ脱却を宣言する年にしなければならない」と述べたことについて質問したが、「宣言できる可能性はある。好循環に向かう方向性が明確になりつつある。雇用は絶好調だし、投資もICTや人材に対する研究開発が活発化しており、マイナス面が強調されている消費に関する家計データは実態を反映していない」などと話した。

◇      ◆     ◇

 木村理事長と岩沙会長からコメントを取った段階で目的は達成できたと判断したのだが、会場に入るや否や、下にも置かない歓待を受け、ホテルが用意した椅子に座られた方を無視できなくなった。

 記者はさび付いた記憶を手繰り寄せようとしたのだが、三井でも三菱でも住友でもどこのデベロッパー関係者でないことが察せられ、かといって派閥の領袖でもなさそうで、周りの人に聞いてもどなたもご存じなかった。

 年齢は木村理事長や岩沙会長より一回りも上ではないかと想像したが、その血色たるや、ストレスなどまったくない環境で美食のみを与えられた松坂牛というよりは、むしろ粗食に徹し、まっとうな人生を過ごしてきたからこその賜物でありそうな、まるで乳飲み子のようなふっくらとしたほっぺがピンク色に染まっていた。

 そこで〝ここで聞かなければ一生後悔するぞ〟という第六感が働き、〝この機会を逃してなるものか〟と意を決した記者はおずおずと名刺を差し出した。一瞬、その方は胡乱な目を差し向けたが、内ポケットから名刺を取り出した。

 名刺には「日本チェーンストア協会 日本小売業協会 國(国ではない)民生活産業・消費者団体連合会 会長 清水信次(株式会社ライフコーポレーション代表取締役会長兼CEO)」とあった。

 肩書を見たとたん、消費増税に対する考えは聞かなくても理解したのだが、「会長、消費増税について考えをお聞きしたい」と声をかけた。清水氏はよどみなく持論を展開した。

 「増税はやるべきではない。軽減税率は世界一複雑怪奇。日用品、生鮮食料品などは毎日相場が変わる。日本のスーパーは2割、3割引きがザラ。2%どころの軽減税率で何の効果もない。消費増税は実態を知らない政治家が考えることで、カネもかかる。最悪だ。軽減税率を入れるなら(飲食料品ではなく)電気・ガス・水道を対象とするぺき。簡単にできること。

 いま一番困っているのは、30~40年前は年収が400万円以上800万円以下の中間層が85%くらいだったのが40%に減り、8%だった低所得者が40%に増加していること。この問題を何とかすべきで、消費増税は危険すぎる」

 取材を終え、傍らにいた同社関係者に取材のお礼をし、そのついでに清水氏の年齢を聞いて仰天した。何と年齢は90歳だという。

 社に戻ってさらに驚いた。出身地がわが故郷・三重県の津市だった。ウィキペディアには「食品スーパーマーケット『ライフ』を興し、売上高4,700億円という日本最大の食品スーパーマーケットチェーンを一代で築いた。中内功・鈴木敏文・岡田卓也らとともに戦後の流通業界を牽引した人物」と紹介されている。そういえば、清水氏はさかんに「伊勢のな言葉」を発していた。

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清水氏

◇      ◆     ◇

 普段の行いがいいと幸運が舞い込むという見本だ。取材に大満足して帰ろうとし、一服でもと立ち寄った喫煙所で、幸運にも近鉄不動産とグループ会社で、わが故郷・三重県の三交不動産の関係者とばったり出あった。早速、伊勢志摩サミットの波及効果や不動産市況などを聞いた。

 近鉄不動産首都圏事業本部 常務取締役本部長・田中孝昭氏には、昨年、同社が分譲した「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」記者発表会でも質問したのだが、サミットのメイン会場となる志摩観光ホテルや駅舎の改装などに数十億円かけたそうで、その効果は「これから」ということだった。

 三交不動産のマンション事業と賃貸事業本部担当の常務取締役・森本浩史氏は、「サミットは不動産事業には効果を及ぼしていないが、太陽光事業がドル箱になりつつある」と話し、同社マンション事業本部東京支店本部長・盛田哉氏は、「『北習志野』で駅から7分で96戸を分譲するし、『三郷中央』でも確認は取れていないが徒歩2分で分譲する。『北習志野』は『オハナ』(野村不動産)に負けない」と胸を張った。

 「『オハナ』に負けない」とは頼もしいではないか。双方とも取材してレポートする。

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左から盛田氏、森本氏、田中氏

 

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