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2016/05/13(金) 00:00

やはり杭は支持層に未達だったのか 横浜都筑区の傾斜マンション問題

投稿者:  牧田司

 三井不動産は5月10日、平成28年3月期決算を発表し、決算短信に横浜市都筑区の傾斜マンション問題を盛り込んだ。

 決算短信には「平成28年4月11日に(三井不動産)レジデンシャル社は、施工会社である三井住友建設から、現況調査として杭の一部が支持層に未達である旨の報告書を受領…平成28年4月28日には、本件調査の第三者評価機関である一般社団法人建築研究振興協会より、三井住友建設による現況調査は妥当である旨の評価書を受領いたしました」と記載されている。

 また、「レジデンシャル社は当該事象にかかる費用について本件不具合の調査・原因究明結果に基づき、工事請負契約に基づく瑕疵担保等の責任を負う施工会社等に対して求償いたしますが、本件不具合の調査・原因究明は継続しております」としている。

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 この問題については横浜市が平成27年12月8日付で、建築基準法第12条第5項に基づく構造耐力の適合性について報告するよう事業主の三井不動産レジデンシャルと施工を担当した三井住友建設に求めた。三井住友建設が当初行ったスウェーデン式サウンディング試験では正確な調査結果が出ないとして疑義を呈し、横浜市もまた「斜めボーリング」方式によって調査することを三井住友建設に求めたと思われ、報告期限は平成28年5月31日となっていた。

 これに対して、三井不動産レジデンシャルと三井住友建設は平成28年4月27日、報告期限を平成28年6月30日にするよう市に求め、受理されている。

 現段階では詳細は不明で、市も報告書を受領していない。

◇       ◆     ◇

 ここで注目されるのは、三井住友建設の調査方法が適正であれば、これまで旭化成が主張してきた「内調査委員会および外部調査委員会によるヒアリング調査の結果、該当する現場責任者およびオペレーターは、一様に杭は支持層に到達しており、施工は適切に行っていると述べており、杭工事の施工上の瑕疵を隠蔽する目的で施工データの流用を行ったことを示す証言または資料はこれまでの調査では発見されなかった」(社内調査委員会の平成28年2月9日付中間報告書)は覆されることになるのかどうかだ。

 さらにまた、「杭工事の際の掘削時の電流計データの変化状況は、掘削が支持層まで到達したか否かを推定する一要素に過ぎないものとされており…電流計データの変化状況によって推定する方法は、正確な地盤強度を測定する観点からは限界がある」(外部調査委員会による平成28年1月8日付中間報告書)とするならば、結局は支持層に到達しているか未達かはボーリング調査を行わないとわからないということになるのか。

 だとするならば、データ流用そのものはマンションの安全性とは関係ないということにならないのか。三井住友建設の調査は、データ流用がなかった杭についても行われたのかどうかも気になる。

 そしてまた、「旭化成建材は…本件マンションに施工する全ての杭を支持層まで到達させ、支持層に十分差し込む作業を履行する義務、及び②本件マンションに施工する全ての杭について、根固めを築造する義務を、日立ハイテクに対して負っていたものと考えられる」(外部調査委員会の中間報告書)というのであれば、施工監理とはいったいなんぞやという疑問も深まるばかりだ。

 

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