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2016/05/30(月) 00:00

すてきナイス 一戸建てが大幅増 業績に寄与 今期は1,000戸目標

投稿者:  牧田司

 すてきナイスグループは5月27日、2016年3月期決算の業況説明会を開き、日暮清社長は「営業利益が消費税の駆け込み需要があった2014年3月期を除けば過去最高の26億円になったのは、一戸建ての『パワーホーム』が大幅に伸び、建築資材事業にも寄与し、リスクの大きいマンションから一戸建てへ名実とも転換したのも大きい」などと語った。

 売上高は2,386億円(前期比101.2%)、営業利益は16億円(同160.8%)、経常利益は11億円(同229.5%)だった。このうち住宅事業の一戸建ての売上高は257億円(前期168億円)、マンションは196億円(同226億円)だった。

 2017年3月期は売上高2,450億円、営業利益16億円、経常利益11億円を目指す。このうち一戸建ては売上高340億円、マンション196億円を予定している。

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 記者が知らないだけで周知の事実だろうが、同社の日暮清社長の1時間20分にわたる業績説明を聞きながら、わが耳を疑い目からうろこが落ちた。同社は昨年、「マンションは免震しかやらない」と大胆な宣言をしたが、その理由もわかった。

 それは、大手の寡占が進む一方のマンション事業では徹底した差別化を行う一方で、納材-資材-プレカット-施工-販売の強みが最大限発揮される一戸建てにシフトしようという戦略だ。前述のように、2016年3月期のマンション事業は196億円(前期226億円)で、一戸建ては257億円(同168億円)となり、売上戸数もマンションが321戸(同443戸)に対して一戸建ては733戸(同458戸)と売上高、戸数とも一戸建てが上回った。

 日暮社長は「リスクも大きいマンションから回転率も高い一戸建てへの転換に成功した。今期は900戸が目標だが、社内的には1,000戸を掲げている。注文住宅も前々期が198戸で、前期は293戸と伸びており、ここも伸ばしたい」などと話した。

 皆さんもご存じだろうが、デベロッパー各社は戸建て事業に意欲を見せている。今に始まったことではない。もう10年も昔、異業種も含め〝雨後の筍〟のように戸建て事業に参入した。

 しかし、記者の知る限り成功したのは数えるくらいしかない。用地の取得競争も激しく、一戸一戸積み上げていく事業は手間がかかり、伸び悩んでいるところがほとんどだ。大手デベロッパーも三井不動産レジデンシャルと野村不動産のみが突出しているだけの状況が続いている。

 そうした中、ナイスが戸建てを増やすとは聞いていたが、2012年3月期の299戸から4年間で2.4倍増とは驚異的だ。今期1,000戸とは信じられない。三井の今期分譲戸建ては700戸で、野村は650戸が目標であることからもナイスの数字がすごいことが分かるはずだ。

 なぜそれほど伸ばせるのか。日暮社長も話したように「基本性能」はセールストーク、販促にはつながらない。どこも基本性能の良さを掲げているからだ。

 ではどこが異なるのか。日暮社長は「1戸、1戸、お客さんが口コミで広げてくれるのが大きい。前期で大幅に伸ばしたのは、こうしたことの積み重ね」と話した。

 記者はもう一つ、地域のコミュニティ支援も含めたワンストップの仲介店舗「ナイスカフェ」の貢献もあると思うが、この点について日暮社長は「当社の営業はマンション、戸建て、仲介などで垣根を設けない」と語った。ある仲介店舗の所長は「自分でも本業が何であるかわからない」と話した。それくらい徹底しているからこそ、マンツーマン、フェースツーフェースの営業に徹しているからではないかと記者は勝手に解釈している。

 あるいはまた、この驚異的な伸びは同社の社風にもあるような気がしてならない。記者はRBA野球大会の取材を通じて同社チームの選手とはよく話すが、チーム内における上下関係などまったくなく、アットホームな雰囲気であるのが他のチームと異なる。これは試合では弱点になることもある。〝仲良しクラブ〟では野球は勝てない。しかし、選手は動ずることがない。城戸伸一朗監督も「学生サークルの延長みたい」と自らのチームを評す。

 同社にはわが国の家族経営的な雰囲気を感じるのだが、それがうまく機能していると思えてならない。同じような会社があった。穴吹工務店だ。かつての穴吹は全国マンション供給トップまで上り詰めた会社だが、成長の要因は「大工さんなど施工関係者がうちのマンションを親戚や友人・知人に勧めてくれるのが大きい」と、故・穴吹夏治社長から聞いたことがある。

 ナイスもまた「ナイスグループは、社員および当社に関連するすべての人々の福利増進に努めます」を社是に掲げる。創業者の平田周次氏の経営哲学がしっかりと受け継がれている-今回の説明会で改めて感じた。

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 これも知らなかったのだが、同社は日本初のCLT構造とRC構造の混構造を採用した「仙台物流センター」を7月にも着工し、12月に完成させる。延べ床面積100坪で、階段室をRC造にして耐震力を強化し、床と壁は木造、梁は集成材にするそうだ。海外ではこうした混構造は当たり前のように採用されていると聞くが、わが国にはほとんど前例がなく、建築確認に時間がかかったそうだ。

 もう一つ。同社は平成26年度の国交省「木造建築技術先導事業」に採択された隈研吾氏と大成建設による提案「栄光学園の新校舎」建設でも、材料の調達、ハイブリッドの構造設計、施工を担当する。構造設計では橋梁の建設に用いられる技術を採用し、規格材で9m超の大スパンを実現する。

 

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