RBA OFFICIAL
 
2016/05/30(月) 00:00

「time flies like an arrow 光陰〝矢野〟如し」 木住協・矢野会長(住林会長)が退任

投稿者:  牧田司

_MG_7825.JPG
矢野氏

 日本木造住宅産業協会(木住協)の会長を15年間にわたって務めた矢野龍氏(住友林業会長)が退任したことを書いたが、矢野氏は総会後の懇親会で、15年間の会長職を「time flies like an arrow 光陰矢野如し」と絶妙な言い回しで振り返った。

 記者は、この矢野氏(76)と大和ハウス工業会長兼CEO・樋口武男氏(78)、積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏(75)をハウスメーカーの〝雄弁御三家〟と呼んでいる。三社とも関西が発祥で、三氏とも年齢が近く、〝毒〟を含んだ関西弁を平気で使い、自らの土俵に引き込む話術が巧みというのが共通している。

 矢野氏は登壇するといきなり「今まで皆さん大切な話をされていた。やっとわたしの番が回ってきた。自由になった喜びを話せるときがきた」とジャブを放った。(それまで国交省、林野庁など5名の挨拶があった)

 そして、すかさず「在任期間を振り返ると『time flies like an arrow 光陰矢野如し』」と、流暢な英語を交えカウンターパンチを繰り出した。会場は一瞬あっけに取られたようだったが、やや間を置いて笑いが漏れた。矢野氏は北九州大学外国語学部卒で、住林では10年間アメリカ勤務経験があり、「僕は通訳の資格も持っている」英語のプロだ。

 この飛び切りの「arrow」と「矢野」を掛けた〝親父ギャグ〟に意想外にもたいした反応を示さない参加者に愛想をつかしたのか目を覚まさせようと思ったのか、矢野氏はG7サミット各国の代表者の年齢を紹介した。

 「ドイツのメルケル首相とフランス・オランド大統領は61歳、安倍さんも61歳、オバマ氏は54歳、イギリス・キャメロン首相は49歳、カナダ・トルドー首相は44歳、イタリア・レンツィ首相はわたしの娘と一緒の41歳…みんな若い。わたしは76歳。立派な後期高齢者になりました。安田善次郎は『50、60は洟垂れ小僧、70は働き盛り、80、90は男盛り』と言った。その伝で言えばわたしは青春を謳歌する年齢。80、90で男盛りになれるかどうかは嫁さんとよく話し合う」と爆笑を誘った。(故・安藤太郎氏は90歳を超えてもゴルフをされていた。家庭での主導権は奥さんが握っていた)

 ここから15年間を振り返って会長職として印象に残る活動を紹介。「住宅税制についてはちゃんとすべき。これは和田さん(住団連)、市川さん(木住協)に何とかしていただきたい」と注文をつけた。

 最後は「政治家とは仲良くできなかったが、国交省とは天敵の那珂さんをはじめ亡くなられた山本さん(元山口県知事)などと仲良くさせていただいた。井上さん(前住宅局長)とは戦わない」などとジョークを飛ばす一方で、「(わたしの後任の)市川さんはIQが相当高いし、品格がある。わたしとの比較においてだが。座右の銘は『至誠一貫』です。必ず皆さんのご期待に応えるはず。これからも木住協を支援していただきたい」と締めくくった。

 後で聞いたら〝天敵〟の那珂(正)氏(元住宅局長)はゴルフのライバルで、「勝ったり負けたり、百獣(スコア110)の争い」だそうだ。歯が立たない井上俊之氏とは戦わないという。

 山林取得については「疲弊している森林・林業の振興のため引き続いて増やしていく。国のためだ」と話した。住友林業は数年前に三井物産を抜き森林保有面積で第三位に上昇している。

 〝マネシタ電気〟〝三流電気〟〝早いだけ電気〟など関西企業の地盤沈下が目立つが、「住林」「ダイワ」「積水」がわが国の住宅業界をこれからもリードするのは間違いない。「上方」経済を象徴する〝能弁雄弁御三家〟もまた永遠に不滅だ。

木住協 6代目会長に市川晃氏(住友林業社長) 矢野前会長は退任(2016/5/28)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン