ナイスは7月21日、東日本大震災で6メートル超の大津波により壊滅的な被害を受け、震災後は仮設事務所で業務を行っていた仙台物流センター(宮城県多賀城市)の事務所棟をCLT(直交集成板)と鉄筋コンクリート(RC)造との日本初のハイブリッド構造で着工し、また、建築家の隈研吾氏が設計を手掛ける「南三陸町志津川地区観光交流拠点新築工事」の施工を地元建設会社と共同企業体で受注し、着工したと発表した。
仙台物流センターはコア部分となる階段室をRC造に、壁や床、天井に復興のシンボルとなるよう宮城県産のスギ材を用いた県初となるCLTを採用。平面上での混構造は日本初となる。CLTの断面を内装に生かし、木質感あふれる空間を演出するため、木質系断熱材による外断熱工法とし、接合部には引きボルトを使わずに外部の側面からプレートで固定する工法を新たに考案。同工事を通じてCLTとRCとの組み合わせ技術を検証し、CLTの普及に貢献していく。
仙台物流センター事務所棟は、宮城県多賀城市宮内に位置する木造(CLT)+鉄筋コンクリート造2階建て。延べ床面積356.70㎡。同計画は林野庁「CLT等新たな製品・技術活用建築物実証事業」及び宮城県「森林整備加速化・森林再生事業」に採択されている。
同社は、東日本大震災直後から1,088戸の応急仮設住宅の建設に携わり、2014年7月には日本最大規模となる約3,000㎡の木造建築による宮城県南三陸町の特別養護老人ホーム「慈恵園」を供給している。
南三陸町志津川地区観光交流拠点完成イメージ(画像提供:隈研吾建築都市設計事務所)