野村不動産が分譲中の「プラウド国分寺」を見学した。駅から徒歩5分の駅近マンションもさることながら、現地は国分寺崖線区域内にあるため敷地のほぼ3分の1に当たるエリアを「保存林」として残し、一部を提供公園と共に一般に開放するマスタープランが素晴らしい。地域とのコミュニティにも配慮している計画が評価され、建物の絶対高さ制限24.56mが約1フロア分(4.5m)緩和されている。
物件は、中央線国分寺駅から徒歩5分、国分寺市南町1丁目に位置する敷地面積約8,000㎡の8階建て地下1階建て全125戸。9月分譲予定の第2期4次(戸数未定)の専有面積は71.13~87.66㎡。坪単価は320万円弱。竣工予定は平成28年9月下旬。施工は西武建設。デザイン監修は板倉建築研究所。
現地は、国分寺崖線区域に位置する敷地北側に中央線の線路があり、敷地南側の道路面まで比高差にして10mくらいある傾斜地。建物は4棟構成で、3階の共用廊下と「保存林」として残した緑地がブリッジでつながっている。
各住戸の設備仕様は、同社の他の〝プラウド〟仕様とほぼ同じで、キッチン・洗面カウンタートップは御影石、ディスポーザ、食洗機などが標準装備。全住戸がオープンポーチ付きで、専用庭付きタイプもある。
今回の生物多様性保全の取り組みが評価されて、「ABINC(一般社団法人いきもの共生事業推進協議会:エイビンク)」の「いきもの共生事業所認証」を取得している。
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このマンションの最大の特徴は、国分寺崖線区域内にあるため国分寺市のまちづくり条例をクリアしたうえで、敷地北側にある、面積としては約3分の1を占める「保存林」の高木既存樹約80本を残し、約670㎡の提供公園と共に地域住民に公開することだ。このため緑地率を約44%確保している。
記者は工事関係者の了解を得て「保存林」まで歩いた。道路との比高差にして10mくらいはあっただろうか。丘の上には見事なケヤキ、コナラ、シラカシ、クヌギなどの武蔵野をしのばせる高木が何本も植わっており、舗道も整備されていた。
計画によると「保存林」すべてが住民に公開されるわけではなく、セキュリティをかけて居住者専用のプライベートゾーンも設置するようだ。「保存林」とは居住棟の3階の共用廊下からブリッジでつながれており、3割くらいの住戸から北側の「保存林」を借景として取り込むことができるプランになっている。
「保存林」の管理は管理組合が行っていくことになるが、市の「保存樹林」として指定され、固定資産税と都市計画税の8割相当額を奨励金として交付されることになっている。
また、マンションの集会室は、一般も利用できるカフェスペースとして運営されることになっている。
細かな点だが、擁壁を緑化ブロックとし、バルコニー手すりは下部がアルミルーバーで上部はガラスを採用し、現地から採取した土を釉薬に配合したオリジナルタイルを用い、エントランス部分に有孔タイルを配したりしているデザインもいい。さすが野村、板倉建築というべきか。