野村不動産は8月23日、杉並区の昭和33年に建設された阿佐ヶ谷住宅(350戸)の建て替えマンション「プラウドシティ阿佐ヶ谷」(575戸)の竣工見学会を行った。敷地面積が約4.3haの第一種低層住居専用地域(建蔽率40%、容積率平均111.4%)に位置する低中層大規模マンションで、ランドスケープデザインが素晴らしい。
物件は、丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅から徒歩5分、又は中央線阿佐ヶ谷駅から徒歩13分、杉並区成田東4丁目に位置する3~6階建て17棟全575戸(権利者住戸188戸含む)の規模。第3期の専有面積は58.99~102.79㎡、価格は未定、坪単価は380万円。竣工は平成28年8月。施工は安藤・間、西武建設、前田建設工業。設計・コンサルタントはINA新建築研究所。売主は同社(事業比率81%)、安藤・間(同19)。
昭和33年に日本住宅公団(現UR都市機構)によって建設された中層棟118戸、テラスハウス232戸の計350戸の分譲マンション。平成7年に再開発委員会が発足し建て替えの検討が進められ、同17年に同社が事業参画。紆余曲折の末、平成21年に「成田東4丁目地区」地区計画の都市計画決定がされ、同25年に全権利者との契約が完了、同26年に着工した。
竣工当時は区分所有法制定前であり、土地の権利形態が明確に整理されておらず、複雑に入り組んでいたため、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」の適用が難しく、権利者全員の合意による等価交換方式が採用されている。
建て替え検討開始から21年を要して竣工となったが、これほど長期にわたったのは権利関係が複雑なうえ、近隣住民の反対、厳しい用途・高さ制限・容積制限が課せられていたためで、地区計画で建物の絶対高さが最高20mに緩和され、容積率も平均で111.4%と定められ実現したもの。
見学会に臨んだ同社住宅事業本部マンション建替推進部長・岩田晋氏は、「事業参画してからリーマンショックや東日本大震災を経験し、地元、権利者などとの調整に時間がかかったが、極めて恵まれた条件のマンションになった。当社のマンションは竣工までに売れるのが普通だが、この物件はこれまで約半分しか供給していない。現地を見ていただいて買っていただこうと考えている」と話した。
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これまでも再三再四書いてきたことだが、敷地規模が4.3haもあるのにどうして6階建てしか建たないのか、容積率が111%にしかならないのか不思議でならない。〝低ければ低いほど良好〟と考える現行の高さ規制はどんどん街をつまらなくさせる。
第一種低層住居専用地域に中層マンションが建設された例では、住友商事が昭和50年代に建設した12階建て「成城ハイム」がある。
とはいえ、規制が厳しいからこそランドスケープは素晴らしいものになった。駐車スペースを地下(一部除く)に配する徹底ぶりだ。〝管理するのが大変だろう〟と心配するほどだ。