マンション管理業協会は9月21日、「管理組合として民泊を禁止または容認する場合の管理規約の例および考え方を作成・公表いただきたい」とする内容の要望書を石井国土交通大臣宛に提出した。
要望書では、「分譲マンションは、そのほとんどが区分所有者が生活の本拠を置く実住型で、平穏に暮らすことを目的としており、不特定多数の者が出入りする民泊は、これを阻害するものとして、関係方面から多くの反対意見が表明されており、一方、リゾートマンションや繁華街等に位置する一部の投資型マンションでは、その利用形態から民泊制度を活用したいニーズもあるのが現状」とし、「国土交通省が作成・公表する現行の『マンション標準管理規約』では、民泊のような利用形態は想定されていないことから、これに準拠する各分譲マンションでは、管理規約上、民泊はそもそも認められていないと考えてよいか、また、今後、認める場合・認めない場合にどのように規定すればよいか混乱が生じています」としている。
◇ ◆ ◇
この要望書に対して国交省がどのような回答をするかだが、法律に照らし合わせると、マンションでの民泊は不可と解されるのではないか。
区分所有者の権利義務を定めた区分所有法第6条では、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定めている。民泊利用が区分所有者の共同の利益に抵触する可能性が高いと理解されそうだ。
また、マンションの規約の設定、変更などを定めた同法第31条では、前段で「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする」とあり、また後段では「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と規定されており、規約変更によって民泊利用を可能にするのは大きな壁がある。
さらに、国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」の専有部分の用途を定めた第12条には「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」としている。
常識的に考えるなら、「専ら住宅」は他の用途を想定していない。ただ、「専ら」の文言は「主として」とも解されるので、住宅以外の用途を完全に排除したものではないとも受け取れる。
なので、投資用マンションなどでは民泊を認める動きが出てくる可能性もありそうだ。