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2016/10/24(月) 00:00

旭化成ホームズ メインプレーヤー不在の中高層用ビル建設に新技術開発・販売

投稿者:  牧田司

 ヘーベルビルズシステムによる建物イメージパース.jpg
「ヘーベルビルズシステム」イメージ

 旭化成ホームズは10月24日、8階建てまでの賃貸住宅、店舗・事務所など多様なニーズに対応した中高層用ビルディングシステム「ヘーベルビルズシステム」を開発し、11月より一部エリア(東京および周辺部)で先行販売を開始すると発表した。

 「ヘーベルビルズシステム」は多様な商業用途が想定される4~6階建てをメインターゲットとして開発したもので、同社がこれまで販売してきた「ヘーベルハウスフレックス」の技術や生産・施工方法を継承しながら、各階の階高を2.8~3.5mの範囲で設定可能とするなど、品質と精度を確保しながら飛躍的に自由度を高めて8階建てまでの建築を可能とした。

 ヘーベルハウス同様、外壁のALCコンクリート「ヘーベル」の取り付けには、地震時の変形に対する追従性の高い独自のロッキング工法を用い、振動抑制装置や制震装置も用意した。更に、基礎工事も工業化するなど現場工程を極力単純化し、工業化が進んでいない中高層建築市場において高品質で高効率な施工を実現した。

 現在、4階建ての賃貸併用住宅などでは同社を筆頭に着工戸数に占めるハウスメーカー施工比率が高いのに対し、5階建て以上は現場施工のRCや鉄骨造が多く、「メインプレーヤーが不在」(同社)の市場を形成しているという。

 発表会に臨んだ同社取締役兼専務執行役員・川畑文俊氏は「やっと中高層の幅広い用途に対応した技術を開発することができた。長年展開してきた『ロングライフ経営』の礎が完成した。自社で内省化できる強みを発揮し『中高層建築№1』の達成を目指す。2020年度には4階建て以上の受注全体で500億円が目標」などと話した。

◇       ◆     ◇

 同社の工業化製品「へーベルハウス」の技術を継承・発展させて、在来工法が中心のメインプレーヤー不在の中高層ビル建設に市場参入するという非常にわかりやすい、いいことずくめの新技術に違いない。

 しかし、天邪鬼の記者は別のことを考えた。①都市部の狭小敷地は工業化製品では対応が難しい不整形の敷地のほうが多いのではないか②アール状のデザインを採用するなど特徴を持たせ、間取り・設計の自由度が高く、間口の広い空間を確保できるのはRCではないか③遮音性能もRCのほうが高いのではないか-と。

 そこで、そのまま同社の技術担当者にこの疑問をぶつけた。担当者は、「へーベルハウスは不整形の土地でも柔軟に対応できるようになってきている。外観デザインや間口など良しあしがあるものについて当社は数値競争しない。遮音性能は壁や床の仕様の問題」と語った

 -なるほど、そういうことだ。同社が建設した1~5階まで賃貸住宅で、延べ床面積270坪の試作棟は坪単価95万円とのことだった。確かにRCでは絶対このような単価では建設できないし、工期短縮、施工の安定性、職人不足のことも考慮すると競争力があるということか。

 

 

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