三井不動産は11月11日、三井不動産レジデンシャルが分譲した横浜市都筑区の「傾斜マンション」全棟建て替え問題についてについて、平成29年3月期第2四半期決算の決算短信に「偶発債務」として盛り込んだ。
建て替え費用や工事期間中の仮住まい費用などの総額は約390億円で、費用のすべてを施工会社の三井住友建設、杭施工を行った日立ハイテクノロジーズと旭化成建材に対し求償すると発表した。
また、「今後、当該事象の進捗状況によっては、当社グループの連結業績に影響が生じる可能性がありますが、現時点ではその影響額を合理的に見積ることは困難な状況にあります」としている。
これに対して、先に第2四半期決算を発表した三井住友建設や旭化成は「関係者間の協議の進捗によっては、今後連結業績に影響を与える可能性があります。なお、現時点ではその影響額を合理的に見積ることは困難な状況にあります」(三井住友建設)としている。
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この問題については、たいして取材もしていないので深入りしないが、問題が大きくなってからの三井不動産の対応は速かったし、国土交通省も事態の収束に動いた。全棟建て替えは入居者の負担も大きいが、建物の不具合が生じた場合の一つの解決策を示した。
ただ、建て替え費用の分担については各社が発表している通り、なお紆余曲折が予想される。
違法性が明らかになったのは全4棟のうち1棟だけのはずで、全て4棟の建て替え費用などを求償する法的合理性はあるのかという疑問が沸く。
また、4棟が建築確認上別々の建物か、それとも1棟の建築物なのかによっても判断が異なるような気がする。
三井不動産が求償する約390億円は、三井住友建設の営業利益233億円(平成28年3月期)をはるかに超える巨額だが、保険にも入っているだろうからそれで賄われる部分もあるのではないか。それとも保険期間は満了しているのか。