ポラスグループの中央グリーン開発は11月19日、同社が2004年から2014年にかけて開発・分譲した全1,035棟の野田市の大規模戸建て住宅地「パレットコート七光台」の一角に、住民参加型のワークショップ「光葉町ミライ会議」とともに完成させたコミュニティカフェ「Meet Up Under the Tree(あの木の下で会いましょう)」のオープンイベントを開催。鈴木有・野田市長、菊地晃史・光葉町自治会長、桜井・カフェオーナーら約100名の関係者が完成を祝った。カフェは11月23日オープンする。
公募で選ばれたカフェオーナーの桜井氏は「お花がいっぱい飾られたオーストラリアのカフェで朝ご飯を食べてカルチャーショックを受けたのがきっかけ。こんな店を日本でもやりたいと思った。コンセプトは〝はじまり、つながり、ひろがり〟。デザインにもこだわった。コミュニティの輪を大きく育てたい」と話した。
菊地氏は「『七光台』が分譲開始されたとき、いい街になると直感し購入を決めた。その直感は間違っていなかった。これからもいい街にしたい。自治会加入率も引き上げたい」と語った。
カフェの敷地は、同社の旧千葉支店があったところ。当初は建物を壊し分譲戸建てを5戸建設して分譲、事業完了する予定だったが、自治会などと協議を重ね、事業完了後の地域コミュニティを支援するために今回の住民参加型のカフェに変更した。3年間のテナント料と300万円の支店リノベーション費用を補助した。リノベーションには住民も参加した。
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この街は分譲当初から数回取材している。「奇跡の街」と書いたが、あの貧相な駅舎と蒼茫とした野原がわずか10年で1,000戸を超える住宅街に変貌したのが信じられない。いま、郊外住宅地の販売ペースは年間20~30戸だ。この街はその4~5倍のスピードで完成させた。当時の記事もぜひ読んでいただきたい。
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イベント会場で参加者に話を聞いた。まず、この日のイベントに野菜を提供した千葉県野田市木間ケ瀬(旧関宿)農家「みのりFarm池澤」の30歳代のご夫婦。
読者の皆さんは野田市木間ケ瀬と聞いても皆目見当がつかないだろうし、記者自身も「旧関宿」と聞いて、「ああそうか。あの千葉県の北西の突端にある利根川と江戸川に挟まれた盲腸のような町」くらいしか思い浮かばないのだが、若い池澤ご夫妻は、その盲腸のような地で年間30種類の野菜をセットで各家庭に直接販売している。今では六本木ヒルズ、恵比寿ガーデンプレイスなどのマルシェにも出店しているというから驚きだ。
2人は19、20歳で結婚。ご主人はいわゆる〝婿〟。〝嫁ぎ先〟は子どもに同じ仕事をさせないのが家訓だったため、二人で農業の道を選んだのだそうだ。子どもは2人。
ご主人が「彼女は30キロの荷物を持てる」と紹介したので、早速奥さんに腕相撲を申し込んだ。体重は40キロ前後なのに、記者はものの数秒でねじ伏せられた。
奥さんは「わたしの専門は美容・ネイル。仕事を通じて美容と農業がつながっていることがわかってきた。土に触らない日はない。ネイルは爪が汚れても目立たないように黒を基本にしている」と笑った。
「パレットコート七光台」に当初から住んでいる6歳と4歳の子どもがいる30歳代の夫婦はどうか。
大阪出身のご主人(38歳)は都内・日本橋に勤務する会社員。「会社まで1時間半。専ら読書の時間に充てている」と、通勤をそれれほど苦に思っていないようだ。結婚して仕事を辞めたという〝専業主婦〟の奥さんは「わたしは所沢出身。最初は全然お友だちもいませんでしたが、たくさんできるようになった」と語った。
気になるのはやはり女性の仕事と子育ての両立だ。18歳から25歳まで4人の子どもかいる40歳代の女性の「いつも母子家庭状態」という声にはドキリとさせられた。
豊かな自然と広い敷地の郊外住宅に住むことが、女性にとって〝専業主婦〟〝母子家庭〟状態になることを覚悟しなければならないのか。これはみんな考えないといけない。今回のカフェでは、採用した従業員6人中4人が七光台の住民とのことで、雇用創出にも一役買っているようだ。