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2016/12/23(金) 15:16

「埼玉で、がんばる! 埼玉を、創る!」 スローガンが泣く 埼玉県住まいづくり協議会

投稿者:  牧田司

 別掲のように昨日(12月22日)、埼玉県住まいづくり協議会が主催する「第4回埼玉県環境住宅賞」表彰式が行われた。審査委員長の三井所清典氏(日本建築士会連合会会長)は、20周年を迎えた同協議会の活動を称え、受賞作品も絶賛した。

 記者もそう思う。しかし、素晴らしい活動をやっているからこそ、支援したいからこそ言わざるを得ないことがある。同協議会の組織運営についてである。

 石の上にも3年だ。部外者が言うべきことではないのを承知で、組織に水を浴びせることを書く。誰かが悪者にならなければ治らない。記者はそうなってもいい。

 この日の表彰式、満席になれば優に100名は超えると思われる会場に集まったのは30~40名。空席が目立った。

 式次第に沿って、主催者の同協議会会長・風間健氏(高砂建設社長)の挨拶から賞状授与が粛々と行われた。

 賞状を受け取るため登壇した人は25名。一人ひとりに賞状が手渡され、降壇するたびに司会者が「受賞者にもう一度大きな拍手を」の呼びかけに応える拍手が大きく響き渡ったが、それ以外はしわぶき一つ聞こえない。お通夜と間違えそうな静かさだ。〝さくら〟もいなければ一般人の参加は皆無だったはずだ。

 その後、プレゼン、総評に移ったが、登壇者の声が小さく最後列に用意された報道席には届かないのもあった。

 この光景こそ、同協議会の現状を如実に物語っているのではないか。これ以上は書かないが、式の演出に問題があるのだ。関係者みんなが受賞者を称える雰囲気づくりに決定的に欠ける。三井所氏ら審査員が「素晴らしい」などと絶賛する言葉がむなしく聞こえるのは記者だけでないはずだ。

 プレゼンの登壇者もそうだ。4人のプレゼン時間を測った。3分、8分、15分、19分だった。決められた時間きっかり行うのがプレゼンのイロハだ。

◇       ◆     ◇

 もう一つ。今回の応募は92作品。多いか少ないかの判断は難しいが、応募者の構成を見ると、アキュラホームから50作、県下の3高校から13作、小林建設が4作、東京ガスが4作。この6社・校で全体の77%を占める。

 この構成は考えなければならない。盛り上がり、広がりに欠けると言わざるを得ない。

 その原因として、「レギュレーションがくるくる変わる」という関係者の声も聞かれるが、三井所氏は「応募部門は5つあるから、関心を持てば県民全てに(応募の)チャンスがある」と話した。部門によってはハードルを高くし、また「学生部門」のような市民がどんどん応募できるような部門を設けていいではないか。受賞者に対するユニークな賞品提供もあっていい。

 協議会メンバー、中でもハウスメーカーは優れているのが当たり前だから、個人応募はともかく企業としての応募資格から除外してもいい。若い人にチャンスを与えるべきだ。

◇       ◆     ◇

 埼玉県は最近、「先導的ヒートアイランド対策住宅街モデル事業」を立ち上げ、さいたま市も「スマートシティさいたまモデル」を国内外に発信・展開する「美園タウンマネジメント協会」を設立した。地球環境問題に真剣に取り組む姿勢を明らかにしている。

 同協議会はその旗振り役であるはずだし、そのメンバーが建築中の「浦和美園」の戸建ては、東京都の「「むさしのiタウン」や横浜市の「脱温暖化モデル住宅」などと比較しても、はるかに進んでいる。

 記者はこの〝落差〟が許せないのである。このままでは尻すぼみになるのが目に見えている。「埼玉で、がんばる! 埼玉を、創る!」のスローガンが泣くではないか。

 上田清司・埼玉県知事は先のRBA交流会で「埼玉県が一番元気」とアピールしたが、元気なのは知事だけでないのか。

 同協議会を応援しようという気持ちがなえてくる。記者だって暇じゃない。このままでは来年は取材するかどうか考える。(こんな記事を書いたらお呼びじゃないだろうが)

 20周年を記念にもう一度、原点に立ち返って協議会のあり方を問い直すべきだ。

 

埼玉県知事賞に小林建設 高校生の作品も入賞「第4回埼玉県環境住宅賞」(2016/12/23)

 

 

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