不動産協会と不動産流通経営協会(FRK)は1月6日、恒例の合同による「新年賀詞交歓会」を行った。冒頭、不動産協会・木村惠司理事長(三菱地所会長)が「日本の豊かな社会、安心・安全の街づくりを進めていく」とあいさつし、FRK・田中俊和理事長(住友不動産販売社長)は「昨年は不動産流通取引件数が過去最高を更新した。今年も市場規模の倍増に向け業界が一丸となって取り組む」と抱負を述べた。
参加者は昨年の約1,150名を上回る約1,200名に達し過去最高を記録。来賓として石井 啓一・国土交通大臣、山本幸三・内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革)、高市早苗・総務大臣、野田毅・自民党税制調査会最高顧問、北側一雄・公明党副代表(元国交大臣)、井上義久・公明党幹事長なども挨拶し、菅義偉・内閣官房長官も駆けつけるなど、会場は立錐の余地がないほど賑わった。
不動協とFRKの2017年賀詞交歓会(会場のホテルオークラ アスコットホールの定員は800名)
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最初に登壇した不動産協会・木村理事長は、「私事で恐縮ですけれども、私、いま鎌倉に住んでおりまして、この正月3ケ日は快晴の日が続きました。紺碧の空と海と、そして江の島と湘南海岸の間に富士山が白い雪を頂いている姿を観て、改めて日本の豊かな社会、安心・安全の街をつくっていく決意を新たにしました」と語り始め、国内外の社会・経済状況には「中国の動向などリスク要因もあり、多少不透明感が続く」としながらも、昨年末の税制改正大綱では「事業用資産の買換え特例の延長・拡充、登録免許税の特例の延長などが決まり、わたしどもが要望した税制がほぼ100%実現した」と評価、「内需産業の中核としてこれからの日本経済の成長に寄与したい」と述べた。
具体的な課題としては、地方創生とともに大都市の問題について触れ、「世界的な都市間競争が激化する中でのわが国の大都市の魅力を発信するために、ハード的には国家戦略特区の活用をスピーディに行うこと、ソフト的には街づくりエリアマネジメント手法などを駆使することが必要」と強調した。
住宅分野については、「約6,000万戸あるストックのうち3,000万戸は耐震、耐火、省エネなどで問題がある」とし、建て替えやリフォーム、リノベーションを進め中古と新築の両方が良質なストックを形成し、「新しいライフサイクルにあったニーズ、ウォンツに応えていくことが大事」と話した。
働き方改革についても触れ、「取り組みは業界でもまだまだ緒についたばかり。不動産特有の問題も潜んでいるかもしれないので研究していきたい」と語った。
「街づくり都市づくりを通じて、なおかつ良質な住宅を供給することで希望が持てる社会の実現のために努力していく」と結んだ。
来賓の挨拶のあと、乾杯の音頭を取った不動産流通経営協会理事長・田中俊和氏(住友不動産販売社長)は、「昨年の不動産流通市場は取引件数が過去最高を更新するなど、堅調に推移しました。足元も既存住宅の底堅い需要を実感しており、今年も住宅税制・金融支援策もあり、高水準な取引が続くと期待している。
日本にはモノを大切にする文化がある。よいものは残し、次の人に活用してもらう、このリレーをお手伝いするのが私たちの仕事。既存住宅における消費者の不安解消にわれわれは取り組んでおり、建物状況調査(インスペクション)はその一助になる。年末にその運用方法がまとめられた。我々はそれがスムーズな導入に向け、業界で取り組んでいく。
また、多様化する時代を迎え、新たな技術の活用を加えることにより消費者に地域の魅力、既存住宅の魅力を発信していく役割を担っていきたい。そして、『新住生活基本計画』の目標である市場規模の倍増に向け業界一丸となって取り組んでいく」と述べた。