マンション管理業協会は1月18日、平成29年新年賀詞交歓会を開いた。山根弘美理事長(大和ライフネクスト会長)は、今年の課題として①防災力②高齢化③マンション標準管理委託契約書の改定の3つを挙げ、スピード感を持って取り組んでいくと話した。賀詞交歓会には山本有二・農水大臣、菅義偉・内閣官房長官、井上義久・公明党幹事長、谷脇暁・国土交通省土地・建設産業局長などが来賓として出席、盛り上がった。
冒頭、挨拶に立った山根理事長は、今年の干支が「天岩戸開き」を長鳴きの声によって達成したという丁酉(ひのととり)である逸話から話し始め、業界に光を呼び込む「声」として3つの課題を指摘した。
その一つは防災力であるとし、「標準管理規約の改定では、第27条の管理費と第32条の管理業務に地震保険という文言が明記された。また、標準管理規約の上位概念である『指針』で、『管理組合のコミュニティ形成は積極的に取り組むことが望ましい』と位置付けられた。マンションの防災力の強化の面からも今回の改正は大変満足のいく結果となった」と歓迎した。
二点目として挙げたのは「高齢化」で、これまでの建物と居住者の二つの高齢化対応に加え、「わたしたちの現場従事者の高齢化と採用難の課題」対応が求められるとした。
もう一つは、マンション標準管理委託契約書の改定で、「優良なマンションストックの促進、中古住宅の活性化、特区民泊、耐震化、防災力の向上などわたしたちが担うべき課題はたくさんあるが、採用難に加えて最低賃金は上昇、消費税率がアップすれば管理組合会計が見直され、これまた委託費の値下げ要求につながる。こんなトレンドがよいはずはない」とし、「単なる価格競争ではなく、新たな時代の要求に応え得る顧客目線にたったサービスの明確化と専門性の確立のためスピードを上げて取り組んでいく」と語った。
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「天岩戸開き」が丁酉の長鳴きで実現したというのは初めて聞いた。伊勢出身の私などは、裸踊りをした女神を見たくて天照大神が岩から出てきたと小さいころに教わった。
そんなことはどうでもいいが、マンション管理業の大きな課題の一つがマンション管理員の高齢化・人材不足だそうだ。これまでまったく気が付かなかった。
考えてみれば確かにそうだろうと思う。サラリーマンの定年は60歳から65歳になった。働こうと思ったらもっと働ける世の中になった。
一方で、管理員の仕事はものすごくハードだと聞く。とくに管理委託契約外の無償労務提供が管理員のストレスになっているという。最近は〝歩く音がうるさい〟〝タバコ、ニンニクの匂いがする〟〝新聞配達員のバイクの音がうるさい〟-などのばかばかしい〝クレーム〟にも対応させられる。入居者同士の挨拶を禁止するマンションも出たそうだ。〝そんな常識が通用しない仕事なんか安月給でやっていられるか〟となるのは当然だ。
そんなわけで、記者は管理員の仕事を体験すべくある大手管理会社に取材を申し込んでいる。そのうち実現するはずだ。
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山本有二農水大臣 海外と比べるとわが国の農家の美しさ、住まい方を考え直さないといけない。昨日は農水省が推進している「農家住宅」についてリリースを出した。田舎も忘れずよろしくお願いします
井上義久・公明党幹事長(党マンション問題議員懇話会会長) 理事長が話された建物と住民に加え管理員の高齢化という新たな課題が顕在化してきた。入居者のニーズも多様化してきており、管理会社との意識のかい離が生じているのが心配。管理委託契約の改正ではそのようなかい離が生じないように、適正化法の生みの親の一人としてしっかり取り組んでいく
谷脇暁・国土交通省土地・建設産業局長 国交省で今年取り組む大きな課題の一つは生産性の向上。ICT、IoTなどと連携して生産性向上の取り組みを深めていく。もう一つは書簡行政の人材の確保・育成。標準管理委託契約書の改正についても予算に盛り込んでしっかり取り組んでいく
栗原清・同協会副理事長(大京アステージ会長) 昨年は中古流通量と新築の供給量が初めて逆転した。マンションストック625万戸のうち150万戸が築30年以上。建物と入居者の高齢化対応について、如何に質の高いサービスの提供ができるか考えないといけない。サービス業への転換が課題になってきた
菅義偉・内閣官房長官 安部政権誕生から強い経済を目指してきたが、求人倍率は前年の1.38から昨年は1.41へ25年ぶりの高水準になったし、税収も100兆円超になり、安部政権誕生から22兆円も増やすことができた
菅氏
川崎達之氏(平成3年5月から19年6月までマンション管理協理事長) 今年7月で85歳だよ。俳句? 今日の心境? 最近はボケてきてね、三日三晩考えて一つできるかどうか。アハハハハ(一昨年のコメントは『理事長を辞めてから7年になるが、様変わりしたねぇ。今? なにもやってないよ。歳? 今年4月で84歳だよ。俳句? 時々やるよ。ここで一句? 即興ではできなくなっちゃった』だった=年齢が1つしか上がらず、誕生日が4月から7月になっているが、自分の年齢も誕生日がわからなくなったか、耳が遠くなり「し」と「ひ」の区別がつかなくなった記者のせいか)