〝すごい〟と業界でも話題になっていた東急不動産の最高峰マンション「ブランズ ザ・ハウス一番町」が完成し、1月23日、報道陣に公開された。噂にたがわず、徹底して本物志向にこだわった正統派億ションだ。坪単価は770万円、平均3億円という価格は同社の〝ブランズ〟として過去最高。
物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅から徒歩3分、千代田区一番町に位置する免震構造の12階建て全56戸(事業協力者住戸8戸含む)。価格は1億8,000万円台から5億7,000万円。設計は日建ハウジングシステム。共用・外観デザイン監修はエイ・ディ・エイ。施工は清水建設。昨春から分譲開始され、9月までに完売した。
現地は、番町のなかでももっとも地位が高いとされる一番町に立地。英国大使館、千鳥ヶ淵までも徒歩数分。
共用・外観デザイン監修に同社の「東急ハーヴェストクラブ」などを多く手掛けるエイ・ディ・エイを起用。シンメトリーやフレームワークによる構成美を演出。このほか、照明デザインは近田玲子氏が手掛け、1階ロビーの花台には池坊専好氏による生け花を配置。サロンには三代秀石・堀口徹氏監修の江戸切子を壁面に飾り、庭園には造園植治次期十二代・小川勝章氏のアドバイスを受けて既存のケヤキ、モミジ、石などを活用している。
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ずっと見たいと思っていたマンションだ。分譲を開始した当初から業界でも話題になっていた。その後、番町界隈でいくつかのマンションが分譲されているが、この物件がメルクマークになっているはずだ。
とにかく基本性能、設備仕様レベルが高い。階高は4m確保し、リビング天井高は最高3.1m、そのほかは廊下、キッチンなども含め2.8mで統一。建具・面材はサペリ、カリマンタンエボニーなどの突板銘木や自然石がふんだんに用いられている。共用部分の壁、天井などは全てマホガニー。壁はカナディアンポリクロームなどの御影石を仕上げによって異なる表情にしている。
サロンに置いてある小さなテーブルに触ろうとしたら、関係者から「触らないで」と注意された。「オペラ」というイタリア家具メーカー製だそうで、値段を聞いたら数十万円でも買えないという。ソファーは本皮にエイの型押し文様が付いていた。庭にある蹲は京都にあった建築物の土台に使われていたものだそうだ。
ことほど左様にすべてが富裕層(どんな人かはしらないが、買い増し層が圧倒的に多いとか)の心をくすぐるものばかりだった。その豪華さを誇らない、むしろ控えめな演出に舌を巻くしかなかった。たぶん本物のお金持ちはこのようなデザインを好むのだろう。それだけは記者もわかる。
バブル期の同社のブランド〝プレステージュ〟にはこのレベルの物件は供給されたことがあるだろうか。