「茅場町を土日も含めて目的地にするのが私たちのコンセプト」「街を幸せに豊かにしたい」-この言葉に衝撃を受けた。商業施設「GEMS」事業のビジョン、コンセプト・思いが極めて分かりやすく明確に込められているからだ。事業伸張の理由がここにある。
野村不動産が1月24日行った中央・江東エリアで展開するマンション「PROUD」・オフィス「PMO」・商業施設「GEMS」の物件見学会で、入社5年目という同社都市開発事業本部 商業施設事業部・富吉夏樹さんが語ったものだ。隣にいたベテラン女性記者も「あんな子がうちもほしい」と言い漏らした。
茅場町といえば兜町とともに銀行や証券会社が軒を連ね、世界的な金融街として知られたが、バブル崩壊後は整理統合、本社移転などで地盤沈下している観は否めない。その茅場町の一角に同社は10店舗が入居する飲食ビル「GEMS茅場町」を来年オープンする。周辺の約11万人のオフィスワーカーや地元の人たちの行きつけの店にするのだという。
富吉さんは7名のリーシング担当メンバーの一人で、テナントの誘致、契約まで担当。テナント探しのポイントは、「リピーターが期待できる実力店を見つけること」で、味はもちろん、店の雰囲気、内装、客単価、接客、サービスなどをチェックし、そして何よりも経営者のビジョンが大事だという。
富吉さんから「茅場町を目的地にしましょう」「街を幸せにしましょう」と熱く語られたら断る経営者などいない。
「GEMS」の第1号店は2012年10月にオープンした「渋谷」を皮切りにこれまで「市ヶ谷」「大門」「神田」と4店舗が稼働しており、いずれも人気を博しているという。これからは年に5~6棟を予定するなど、開発スピードに弾みがかかる。
同じ部署が手掛けるオフィスビル事業「PMO」も同様だ。1フロア数十坪から200坪くらいの〝ワンフロア・ワンテナント〟の中規模サイズながらハイスペックの設備がベンチャーや外資系にヒットし、2008年竣工の第1号「PMO日本橋本町」を皮切りに2019年までに32棟、総貸床面積は丸ビルの約22,000坪を超える約28,000坪に拡大する。
◇ ◆ ◇
この記事を書いていて、分譲992戸をわずか6カ月で完売した「富久クロス」の企画を担当した同社の佐々木まどかさんを思い出した。
このマンションのシアターでは「第九」の第4楽章が流れたのだが、「日本一のイゴコチのいいマンションにふさわしい、自信が持てるマンションにぴったりだと思って選んだ」のが佐々木さんだった。
「女性活躍」の視点から同社の事業展開を眺めるのが面白いかもしれない。同社には吉富さんや佐々木さんのような女性が綺羅星のごとくいそうだ。