三井不動産レジデンシャルが分譲中の免震「パークコート一番町」を見学した。モデルルームを見た瞬間、その美しさに声を失った。かつて10年くらい前、鹿島建設の「加賀ガーデンハイツ」を見たとき〝こんな美しいマンション見たことない〟と直截的な表現で記事を書き、それなりの反響があったのだが、二番煎じでは面白くないので今回は美人に例える。
美人といえば三大美女としてクレオパトラ、楊貴妃、小野小町があげられるが、クレオパトラも楊貴妃もどこか男を狂わすイメージが強いし、小野小町を記者は知らない。
なので、心が美しいという絶対条件付きで女優に例えるなら吉永小百合さんか八千草薫さんクラスだ。亡くなった原節子さんを加えてもいいかもしれない。デザインを担当したハシハラヒロコデザイン事務所の芦原弘子氏はもちろんだが、加えないと何かとさし障りがあるかみさんは除く。(吉永さんは美人じゃないという人もいるが)
ここまで書けばもう説明などいらないのだが、とにかく美しい。一部の隙もない。全体を淡いベージュで統一し、余分な縦や横のラインをそぎ落とし、すっきりしたデザインに仕上げているのが特徴だ。絵画でいえば小磯良平の淡彩の美人画だ。
床とキッチン・洗面カウンタートツプは同じ御影石を使用し、フルフラットの奥行き2mのバルコニーにまで同じ天然石を敷き詰めている。
バスルームの演出がまたすごい(のかどうかわからないが)。外から見ると、奥の浴室のシャワーヘッドを中心に左右に向かい合うように洗面化粧台を配置。三面化粧台のガラスはスライド式として、クリニーク、ジョンマスター、シャネルなどの化粧品を見せるようにしている。クローゼットはガラス張りとして、こちらもまた見せるようにしている。
このほか、収納やシステムキッチンの面材などは突板の鋸目仕上げにし、壁は漆喰調のクロス。天井は間接照明の折上げ仕上げ。ドアノブは握り球を使用。
これまで芦原弘子氏のモデルルームをいくつか見ているが、今回の作品は完全に新境地を開いたといってよい。もう一つ、美人が登場する小説をあげるなら、映画は見ていないが中里恒子「時雨の記」の堀川多江だ。
美しいのはモデルルームだけではない。外観・共用部デザインを担当したのは、あの「木材会館」や「パークコート千代田富士見ザタワー」などを担当された日建設計の山梨知彦氏で、これまた美しい。外観フォルムは黄金比を採用しており、シンメトリックで縦と横の線からなるグリットラインが印象的で端正な表情に仕上げている。外壁の一部にロートアイアン調のアルミ格子を張るなどお洒落心も盛り込んでいる。照明計画は数々の賞を受賞している富田泰行氏。
もう一つ、パンフレットを見るまで気が付かなかったのだが、このマンションは調理器具を3つ口ガス、ガス2・ガス1、ガス1・IH2、IH2・IH2の4つの中からセレクトできるようにしている。これが素晴らしい。記者は10年くらい前からこの〝ハイブリッド〟システムをどこが採用するかずっと注目していたのだが、多分今回が初めてだ。さすが三井だ。
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肝心の物件紹介が後になったが、物件は東京メトロ半蔵門線半蔵門駅から徒歩3分・麹町駅から徒歩5分、都営地下鉄新宿線市ヶ谷駅から徒歩8分、千代田区一番町に位置する15階建て全79戸(販売は60戸、事業協力者販売住戸19戸)。今週末に分譲される第2期(10戸)の専有面積は75.67~113.84㎡、予定価格は1億3,400万円~2億2,300万円(最多価格帯1億7,000万円台)。坪単価は630万円。施工は三井住友建設。入居予定は平成31年1月月下旬。
昨年12月から事前案内会を実施しており、これまで第1期・第1期2次まで39戸が分譲済み。
現地は、番町エリアでももっとも地位が高いとされる一番町中央通り〝表〟道路に面した一等地。ホーマットの跡地だ。
販売を担当する同社都市開発一部営業室のパークコート一番町番町サロン所長・大栗裕樹氏は「番町エリアでの分譲は今回で5棟目。南向きは底堅い需要がある100㎡前後のプラントとし、北側住戸はこのエリアでは少なく、しかも潜在的な需要が多い75㎡としました。価格(単価)は安いと思われるかもしれませんが、我々は適正な価格だと考えています。虚飾を排したデザインが共感を呼んでいます」と語った。
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もう何も言うまい。やはり高額マンションの商品企画№1は三井不動産レジデンシャルだ。ハイブリッド調理器具と芦原弘子氏、山梨知彦氏に拍手喝さい。
ついでだ。もう時効だから書くが、記者は吉永小百合さんが昔買ったマンションを2つ知っている。そのうちの一つが三井不動産レジデンシャル(当時は三井不動産)のマンションだった。