フージャースコーポレーションが近く分譲する「トレジャーランドプロジェクト(デュオヒルズ・ザ・グラン)」を見学した。
物件は、つくばエクスプレス柏たなか駅から徒歩3分、柏市小青田に位置する12階建て全253戸。第1期(30戸)の専有面積は68.06~101.40㎡、価格は2,500万円台~5,100万円台(最多価格帯2900万円台)、坪単価は150万円。竣工予定は平成30年10月下旬。施工は長谷工コーポレーション。
「毎日が宝物になる暮らしを」をコンセプトに親子で楽しめる多機能型のキッズルーム兼スタジオや非日常体験のできる仕掛けを施したパーティールーム兼ゲストルームを設置。同社としては初の取り組みとなる間取りに可変性を持たせた「フリーデザインシステム」を採用する。
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見学する前は正気かとさえ思った。現在つくばエクスプレス沿線は大激戦、価格下げ競争が激化しており、土地代がただでも建たないような価格水準に来ているからだ。
そのことを正直に同社の広報担当者に伝えた。「〇〇さん、マイナーな『柏たなか』で253戸を売るのは容易ではないと思いますよ。ぼくの予想ではよくて年間50戸、完売まで5年かかるんじゃないですか」と。
坪単価は150万円と予想したが、その通りだった。これ以下ではまず建たない。
販売事務所には見学者は10人くらいいただろうか。同社のシニア向けマンション「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」竣工見学会に招待された銀行関係者らしい方を相手に女性が元気な声で説明していた。
女性はどこかで見たことがあるような気がしたが、思い出せない(昔は女性の名前と顔は絶対忘れなかったが、今は聞いた傍から忘れる。昨日食べた夕飯が分からない。こんなことを言うと馬鹿にするだろうが、年を取ってごらんなさい)。
「失礼ですけど、どなたですか」と聞いたら、「いやだぁ、もう3回くらい会っていますよ」と言われた。同社の営業企画部部長・友野珠江氏だった。
最高価格は100㎡の5,500万円だという。「えっ、大丈夫? 売れますか」「大丈夫、絶対売れます」
半信半疑でシアターを見て、プロジェククションマッピングとVRを体験し、その100㎡のモデルルームを見学した。確かにコンセプトが明確で、若い夫婦と小さな子どもがターゲットであることが一瞬にして理解できた。
そして、友野氏から話を聞き終えたときは〝ひょっとしたら年間80戸、3年間くらいで売れるかも〟に変わった。それだけ友野氏の説明は説得力があった。
「ありきたりの商品企画では売れないと考え、このような仕掛けを施した。ここを目玉にし、とにかく沈滞ムードの業界を元気にしたい。現場は面白いですよ」と語った友野氏の顔は自信にあふれていた。
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面白い仕掛けについて。シアターが始まる直前、部屋が真っ暗になった。これだと思った。皆さんはダイアログ・イン・ザ・ダークをご存じか。暗闇の中で感覚を研ぎ澄ますと、見えないものが見えてくるということを。同社はそれをシアターでやって見せた。シアターがマンガだったのは全く理解できなかったが、これも当たり前だ。記者などのお年寄りに見せるものではない。
プロジェクションマッピングは半端なものではない。見学者にも映像が映りこんだときは驚いた。
卓上のクリスマスケーキに「息をかけて」と言われたとき、年甲斐もなく記者もフッと息をかけた。何とローソクが消えるではないか。
「柏たなか」の郊外に暮らすことがどのようなことであるかみんなよく理解できたはずだ。
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帰りのEXの車内吊り広告で沿線の5~6つのマンションが〝価格の安さ〟を競っていた。〝3LDK2980万円〟〝3LDK2400万円~〟〝頭金0円 月々4万円~〟などだ。〝(都心へ)近・(駅へ)近・(公園学校に)近・(スーパーに)近〟と大書きした、何だか吉永小百合さんの「奈良の春日野」の〝フン フン フーン〟ように韻を踏んだものまであった。
これを見て逆効果だと思った。ユーザーは購買力がないわけではない。どこも似たり寄ったりで、価格の安さだけが取り柄のような物件に嫌気がさしているのだ。
グランピングゲストルーム