三井不動産は4月6日、新しい働き方の実現に貢献する「WORKSTYLINGプロジェクト」を立ち上げ、ワークスペースの様々な課題に対応する法人向け多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」の提供を開始したと発表した。
生産性の向上や多様な人材の活用(ダイバーシティ&インクルージョン)が求められる企業と、一方で企業ワーカーは長時間労働の是正が課題となる中、効率的でクリエイティブな仕事がこれまで以上に求められている企業ワーカーのニーズに応えるもので、同社が掲げる「その先の、オフィスへ」というステートメントを具現化した。開設に当たっては2,000人を超える企業ワーカーによる利用実績と500件を超えるヒアリングを実施した。
「WORKSTYLING」契約法人は、すべての拠点を10分単位のタイムシェアで利用することが可能で、法人毎の総利用時間を月次で集計し請求する従量課金システムを採用する。専用のWEBアプリで利用者の入退館履歴、個室や会議室の利用状況を一元管理し、契約法人は社外で働く社員の勤怠管理を簡単に行うことができる。法人の承認をうけた個人のみが利用することでセキュリティを向上させ、受付にはコンシェルジュが常駐し高いセキュリティを確保する。
ユーザーは、個室・会議室・オープンスペースなど多彩なスペースのほか、テレビ会議システムも利用可能。専用のWEBアプリにより全拠点の個室・会議室の検索・予約ができる。ディスプレイやキーボード・充電器などの貸出なども受けられる。
施設は、記者発表会場となった汐留と八重洲、霞が関、新宿、大崎、品川、渋谷、池袋、横浜、船橋の10拠点を開設し、2017年度中に主要なエリアに約30カ所の拠点展開を目指す。施設の大きさは50坪~150坪、収容人数は40~150名。利用時間は平日の8:00~21:00。料金は10分間300円。
主な契約法人は味の素、コクヨ、資生堂ジャパン、日建設計、日商エレクトロニクス、日本ユニシス、富士ゼロックスなど。同社も働き方変革の取り組みの一環として4 月から利用する。
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至れり尽くせりの施設だ。コーヒーは飲み放題。女性専用の個室もあり、大きな姿見があり、髪をセットする道具も置いてあった。
何よりうれしいのは、2~4人くらいは入れる喫煙コーナーが設けられていたことだ。クリーンエア スカンジナビアが開発した製品で、三井不動産グループが販売代理店になっている。ドアを閉めなくても煙や臭いが外に出ないスグレモノだ。
参考までに。同社は同じ喫煙コーナーを本社内にも設置しているそうだ。えらいのは、全てではないが大規模マンションの共用部分にきちんと喫煙室を設けていることだ。吸う人も吸わない人も気持ちいい空間を設置するのがデベロッパーの役割だ。取材後、同社の3名の名前をもとに名づけられた中河内いずみ著「場の力」(丸善プラネット、本体1,200円+税)をもらったが、これはいろいろ考えるヒントになる好著だ。
10分間で300円という利用料金が高いか安いか。プロジェクト説明会に参加したメディア関係者の「ちょっと高い」という声もあれば、尊敬する先輩記者は「会社が払うのだから安い」とこともなげに言った(会社が払う料金も結局は労働によって賄われると記者は思うが)。まあ、みんながコスト意識を持って働けばいいということだ。
記者もすぐ時給に換算した。時は金なり。1時間もあればかなり原稿は書ける。〝それくらい仕事しているぞ〟と答える自分と〝その分、給与から差し引くぞ〟という別の自分がいた。酒が飲めないのは残念。軽くたしなむ程度の酒は飲まない人より認知症にかかりにくいという研究もあるし、食欲をそそる効果も間違いなくある。適度の酒は脳を活性化させるとわたしは信じている。
希望をいえばシャワールームだ。オフィスビルでシャワーが使えるようにならないかとずっと思っている。三菱地所は「大手町パークビルディング」でシャワー室を設置した。財務省には省内に職員用の浴室がある。シャワーブースは10人くらいだそうだ。