ポラスグループの中央グリーン開発は4月15日、64棟の戸建て分譲を予定している埼玉県越谷市の「越谷市南荻島プロジェクト(仮称)」の開発に先立つ街づくりイベントの第一弾として「棟下式(むねおろしき)」を行った。この種のイベントはデベロッパーでは初めてと思われる。700名を超える人が参加し賑わった。
開発地は、東武スカイツリーライン北越谷駅から徒歩13分、越谷市南荻島に位置する約12.000㎡の信用金庫研修所跡地。近くには宮内庁埼玉鴨場がある。
施設は50年くらい前に建設されたもので、グラウンドは地元居住者に開放されコミュニティの核として機能していた経緯があり、その土地と建物に感謝を伝え、地域の居住者とともに見送ることにしたもの。
施設を解体した後、2017年冬から分譲する予定。1区画135㎡以上で、価格は3,000万円以上。
儀式の「清祓式」のほか、約600個の撒き餅、施設内の食器・家具など使えるモノを参加者が持ち帰れる「お宝発見ツアー」、ねぶくろシネマと連携した地域振興の野外映画会、地域の出店、ワークショップなどが行われた。「棟下式」は、建物を壊す際に「清祓い」という神事が旧家などでは古くから行われている。
イベントを企画した同社開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は「17:00の時点で参加者は575名。予想をはるかに超える多くの方に来ていただいた。越谷が本拠の会社として地域に貢献していきたい」と語った。
分譲マンションでは、モデルルーム来場者や成約者を対しようとした様々なコミュニティイベントは行われているが、着工前に建物・施設内で地域に開かれたこの種の催しを行うのは初めてと見られる。
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この日の埼玉県の天気予報は「晴れのち曇り。雷雨に注意」。西武の5連勝がかかっているテレビ観戦で忙しいこの日に、どうしてサッカーのみに夢中のポラスの取材に行かなきゃいけないのかと八つ当たりしながら渋々出かけた。
取材時間まで少し時間があったので、タバコを吸うためにカフェに入った。自宅の鎌倉から徒歩時間を含めて片道2時間半かけてやってきた顔なじみの記者とばったり出会った。
二人は一緒に出かけた。案の定、空は暗くなり、ゴロッッと来てポツリと来た。これでは現地は関係者と数少ないメディアだけではないかといやな予感もした。
ところがだ。途中の旧荒川沿いの見事なサクラ並木に圧倒され、着いたとたん、すでに建物からあふれ列をなしている参加者にびっくり。
軽挙妄動、軽佻浮薄の記者は早速、突撃取材を敢行した。( )内は記者。
まず、ずっと以前から住んでいそうな集団。(皆さん、ご近所? )「そう、すぐそこ」「俺は昭和42年に来たが、この辺はみんな田んぼ。何もなかった」「赤白青黄色…5班に分かれた町内会の運動会をここでやった。数百人は集まった。しかし、みんな歳取って走れなくなり、後片付けも大変でいつの間にかなくなった」(お母さんとはちょっと呼べませんが、おばあちゃん、きれいですね、美しいですね。お歳は? )「昭和2年生まれの90歳」(えっ、とってもそんなに見えません。肌がとても綺麗)「お宅、いくつだよ」と別の人。(68歳です)「俺らは平均75歳。おたく(私のこと)が一番年寄りくさい」(え、そんなことはないでしょ。おばあちゃん、空襲は? )「ありましたよ。生まれは名古屋で、郊外だったので被害はなかったけど。戦後すぐ25歳で結婚して、北千住の、今は電機大学のあるところから移り住みました」
次に、30歳代の前半の子ども2人づれの夫婦。「近くの賃貸アパートに住んでいます。僕が三郷で彼女は春日部出身。わたしの勤務先は越谷。彼女は専業主婦」(ここに住宅が建って分譲されます)「値段次第で買ってもいいかもと考えています(奥さん)」(私の予想では、安いところで3,500万円、4,000万円を超えるものもありますがだいたい3,800万円くらいじゃないですかね。間違ったらごめんなさいですけど。レベルは間違いなく高いですよ)
「リユース券」(「リユース権」でもよかったような気がするが)を手に入れた人にも聞いた。(信金にしては高価なものはないですね。みんな持ち去ったのでしょう。しかし、ほら、裏印に「照風」と読めるじゃないですか。ひょっとしたら掘り出しものかもしれませんよ)「(茶碗には目もくれず)…いいものはみんな先にシールを張られちゃった」
主催者も予想外の人気に声が上ずっていた。「3階の研修室の机・椅子の46セットが瞬く間になくなっちゃった。売れ残り? 野球部の大太鼓が返品として戻ってきちゃった。牧田さん、RBA野球用としてプレゼントしますよ」(冗談じゃない。新品だったら数万円はするはずだが、持ち帰れない大きさだし、これを自宅で叩いたら袋叩きにあう)。
掘り出し物はないかと鵜の目鷹の目の主婦にはこんな質問もした。(わたしをリユースする価値はありませんか)値踏みする一瞥の視線をくれただけで「ハハハハ」とガラクタ(失礼)を抱えて立ち去った。(「お互いさま、もうどっちも使いものにならない」とぼそっと背中に放った声は届かなかったはず)
西武は惜敗したが、いい取材ができた。ポラスはいい仕事をしている。