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2017/05/03(水) 15:55

慣用句か枕詞か なぜか頻繁に登場する「このほど」 不動産業界紙の記事

投稿者:  牧田司

 2大不動産業界紙のうち「週刊住宅」が破たんした。「日刊不動産経済通信」を除き、週刊業界紙は「住宅新報」1紙になった。業界紙のことはよくわからないが、複数紙ある業界が多いと聞く。オピニオン紙として切磋琢磨し、業界の親睦・発展を促すのが業界紙の役割とすれば、どうして週刊住宅は破たんに追い込まれたのか、業界紙1紙はどのような影響を今後及ぼすのか、紙媒体はどうあるべきかなどを、火の粉が降りかかることを承知の上で機会あるごとに書いてみたい。

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 記事は鮮度が命だ。1日でも1分でも1秒でも先に書いたほうが勝ちだ。そして「5W1H」を盛り込むことを新米記者は徹底して叩き込まれる。「住宅新報」も「週刊住宅」も週刊紙だから鮮度はあまり問われないが、記者独自の調理方法によって読ませる工夫が欠かせない。

 ところが、この不動産業界紙2紙は鮮度が落ちるばかりか、まるで記者の工夫がない。その例を示す。

 両紙ともなぜか「このほど」が好きなようだ。慣用句か枕詞か機能語のように頻繁に使用する。両紙とも発行日は月曜日(週刊住宅)と火曜日(住宅新報)だから、記事は発行した時点で3~10日遅れとなる。鮮度落ちは否めないにしても「このほど」ほど読者を軽視した書き方はない。

 住宅新報4月25日号は企画記事などを除き全8ページに40本の記事が掲載されているが、このうち「このほど」の記事が13本で、日にちが明示されていないものは14本ある。合計27本。半数以上が「このほど」と日にちの明示がない記事だ。

 これが〝絶版〟となった週刊住宅4月25日・5月1日合併号は、住宅新報ほどではないがそれでも「このほど」は7本ある。

 このように書くと、些細なことだ、針小棒大にあげつらうべきではないという反論が返ってきそうだが、一事が万事という言葉もある。「このほど」の多用は間違いなく慣れからくる慢心だ。読者に寄り添う姿勢が欠けている。

 記事を書く当事者は旧聞を際立てさせたくない気持ちが働き、副詞的に用いて読ませようという意図もあるのかもしれないが、読者にとってみれば〝鮮度が落ちていますよ〟と言われているようで、完全に肩透かしを食らったような気分になる。心がこもっていないことがすぐわかる。落語の「えー毎度馬鹿馬鹿しい噺を…」ではないが、本当に馬鹿にされたような気になる。

 副詞的に用いる場合「このほど」にさほど意味はないのだから、速報性より記者独自の視点からみた論説的な内容に重きを置くべきだと思う。

 

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