NPO法人RBAインターナショナルが主催し、中国人民対外友好協会、韓中文化経済友好協会、中国文化センターが共催した「第3回日中韓 生け花藝術交流会」が6月15日(木)~16日(金)、東京・虎ノ門の中国文化センターで外務省 日中韓三国協力事務局の後援を得て開かれ、日中韓それぞれの華道家による創作生け花約35点が展示された。
「生け花藝術交流会」は2015年、日中韓3か国の伝統的文化である生け花を通じて、各国のとくに若者たちに民間レベルでの友好の心を育み、相互理解を深めてもらおうとRBAインターナショナルが企画し発足。同年7月に第1回が中国人民対外友好協会の主催により中国・北京で、第2回が昨年4月に韓中文化経済友好協会の主催により韓国・ソウルでそれぞれ開催された。
オープンセレモニーでは、主催者を代表してRBAインターナショナル理事長・久米信廣さんが「花という藝術を通じ、他の人たちとつながり、分かち合える場をつくるために活動しています。今回の東京開催が自分を知り、他者を知るきっかけになることを祈念します」と歓迎の挨拶をした。
これに応え、中国人民対外友好協会副会長・戸思社さんが「ここ数年、中日の関係は多少困難があったが、最近は相互交流を含めていい変化の兆しがみられる。相互協力を拡大させていくことで合意も見られた。生け花は三国の間で多くの愛好者を持っている。より一層良好な関係が築けるよう期待している」と話した。
同協会会長・李小林さんは「中日韓三か国の生け花交流は長い歴史があります。三か国の生け花藝術は共通の東洋文化の特徴を持ちながら、各国は独自の民族風格を備えています。伝統の民族文化芸術を継続して発展させるためには、絶えず他の民族文化の栄養を吸収し、時代と共に前進し、創意工夫しなければならないと思います」とメッセージを寄せた。
また、韓中文化経済友好協会会長・金英愛さんは「藝術交流はお互いの文化、人文交流の幅を広げるプラットフォームとなり、立派な民間公共外交の場です。私たちはすでに生け花藝術交流会を通じて東アジア3国の緊密なつながりの強化と友好増進に大きく貢献していることを確認しました」と祝辞を述べた。
引き続いて行われた生け花実演では、北京大学古琴教師・馬麗亜さんの古琴演奏の中、日本は月輪未生流参与・久米富美宗さんと未生流笹岡師範・陣原康甫さん、中国は中国生け花協会副秘書長・王绥枝さんと北京市花木有限公司市場部部長・劉健鋒さん、韓国は韓国生け花協会ソダム花芸術中央会会長・韓相淑さんとポタニクギャラリー代表・金玎姬さんがそれぞれ解説入りで作品を披露した。また、中国楹聯学会名誉理事・馬孟傑さんが日中国交正常化45 周年記念パフォーマンスとして書道を披露した。
生け花展示では、三井不動産の華道部の皆さんの作品も展示されたほか、埼玉県立浦和西高校華道部の生徒さんが参加。芸術家の指導を得ながら花を生けた。
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記者は、道端に咲く草花を摘んではコップに生け、油絵も描くので生き方も含めて美醜を見定める力が少しはあると思うが、会場に入った途端、甘い花の香りと各国の民族衣装にまとった華やかな姿に圧倒され、感嘆の声を上げるほかなかった。御託を並べるよりまずは皆さんの作品を一挙紹介する。とくとご覧あれ。百花繚乱の言葉がぴったりだ。順不同、敬称略
月輪未生流 師範代 久米和甫(左)久米祥子 陣原康甫
韓国女性経済人協会名誉会長 余奉礼
ミジン韓国生け花藝術研究所代表 金美珍
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ここに紹介した生け花もさることながら、古琴教師・馬麗亜さんの演奏するわが国の琴とはまた異なる穏やかで流れるような音色と〝杉木〟と呼ばれる黒檀のように黒光りする龍(甲)の古材の見事さに記者は感動した。
辞書で調べたら中国の〝杉木〟は広葉樹で、わが国の杉ではない。馬さんによると300~500年昔の古材だという。古材はわが国でも出土することがあり、床柱などに用いられるが値はつけられないほど価値があるという。
もう一つ気が付いたことがある。各国の母語の美しさだ。中国語はあの独特の四声は音楽のようで世界一美しいと記者は思うが、金英愛さんが語った韓国語は実に穏やかで美しかった。もちろん日本語も美しい。
参考までに当日生け花の材料になった主な花木を紹介する。
ドーダンツツジ/ブルーベリー/レンギョウ/バラ/カスミソウ/アジサイ/カラー/ジンジャー/ラベンダー/ダリア/カーネーション/ヒバ/ヒマワリ/ケイトウ/ストレリチア/リンドウ/クレマチス/フサスグリ/リョウブ/シャクヤク/クチナシ/ランルイ/デンファレ/ガーベラ/デルフィニウム/サンゴパイン/ベロニカ/ヒペリカム/アンスリウム/アマドコロ/クチナシ/カサブランカほか