「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」(ホテルイースト21東京で)
全国の工務店・ビルダーが加盟する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:宮沢俊哉・アキュラホーム社長)は7月24日、「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」を開催した。約800名が参加した。
宮沢主宰は2016年度の総括として、会員数は249社、受注棟数は6,006棟(アキュラホーム含む)、1社平均棟数は21.9棟(アキュラホーム除く)、累計棟数は129,429棟だったことを報告。
2017年度は「日本一の豊かな暮らしをデザインする、オンリーワンの集団へ」を基本方針に掲げ、学会、行政、住まい手、匠などと垣根を超えた連携を強化し、「スマートアライアンスビルダー ~賢いホームビルダー連携~」を目指すと発表した。
シンポジウムでは、芦原太郎建築事務所所長・芦原太郎氏の基調講演と、伊藤圭子氏(アキュラホーム住生活研究所所長)が司会進行役を務めたパネルディスカッションが行われた。パネラーは芦原氏のほか古川亮太郎氏(フルカワデザインオフィス代表)、 堀木エリ子氏(堀木エリ子&アソシエイツ代表)、井草健二氏(アキュラホーム常務)。各氏が「豊かな暮らしとは何か」を語りあった。
宮沢氏
◇ ◆ ◇
全国大会はこれまで数回取材している。当初は会員数や受注棟数を追う大会だったが、ここ数年は「永代家守り・暮らし守り・まち守り」という高い理念を掲げ、デザインに力を注ぐなどより質の高いレベルを目指す大会へ進化している。
その取り組みを象徴するのがパネルディスカッションだった。テーマは「人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る」-この難しい本質的な問題に各コメンテーターが挑戦した。
パネルディスカッション
ここでは詳細について触れられないが、各氏が語った印象的なフレーズを順不同で紹介する。
伊藤氏 かつて住まい手は美しいものを評価する芸術家だった。住む人の想像力を大事にすることが肝心
古川氏 豊かな住まい、暮らしは人さまざま無限にあるが、自然に近い暮らしは普遍的な要素になる。草木をどう取り込むかに取り組んでいる(吉川氏はアキュラホームの若葉台プロジェクトに参画している)
堀木氏 人間も自然の一部。紙は神に通じる。〝美しい〟と感じる背景には日本人の精神性、美学、技がある(会場には堀木氏の大きな亀甲をデザインした光壁が展示されていた)
芦原氏 自然とともにある、人とともにあるとホッとする。イタリアの村はこれが機能している(芦原氏は基調講演で父・芦原義信氏が戦後渋谷区に15坪の家を建て、その後、自宅に露天風呂を掘ったことなどを話した。アキュラホームは芦原氏が設計したモデルハウスを馬込に建設する)
井草氏 若葉台のプロジェクトではハード、ソフト両面でコミュニティを育てる仕掛けを施す(若葉台プロジェクトは、京王線若葉台駅から徒歩17分の全50棟の戸建て分譲。内と外をつなぐ「U」スペースが特徴になる模様)
◇ ◆ ◇
記者は三重県出身なので、各賞にどこが受賞するか楽しみにしているが、今年も森大建地産が顧客満足度優秀賞を受賞した。同賞は、受注棟数20棟以上で、OB紹介率50%以上が選考基準。同社は毎年のようにクリアしている。森秀樹社長は「今後も地域守りに貢献していく」と語った。
受注12棟以上で営業人員に対する受注棟数の割合が高い企業を顕彰する全国営業優秀賞(営業人員4名以下の部門)で最優秀賞を受賞した東京都の小林建設・小林伸一社長は「今年度はすでに前年度受注39棟の半分を受注しているが、当社は40棟以上を受注しないことにしている。これを超えるとお客様をフォローできない」と話した。
森氏(左)と小林氏
◇ ◆ ◇
宮沢主宰は全国大会で、「私はあと7年で主宰も当社の社長も退く。後任に任せる」と話した。
びっくりしたので同社広報に確認したところ、宮沢氏は社内外でそう話しており、周知の事実だそうだ。
宮沢氏は現在58歳。65歳で社長交代を考えているようだが、その考えを支持したい。軸足を業界全体に移し、「豊かな暮らしをデザインする」社会的なテーマに取り組んでいただきたい。
会場のイベント・展示など