野村不動産アーバンネットは先に不動産情報サイト「ノムコム」(http://www.nomu.com/)の会員を対象とした「住宅購入に関する意識調査(第13 回)」の結果をまとめ、「不動産は買い時」との回答は41.1%と前回調査より3.5ポイント減少し、「不動産は売り時」と考える理由1位は「今なら好条件での売却が期待できるから」などと発表した。調査は、不動産の購入検討者であるノムコム会員に年2 回(1月・7月)実施しているもの。
不動産の買い時感については、「買い時だと思う」「どちらかと言えば買い時だと思う」の回答が41.1%(前回比3.5ポイント減)で、2013年7月の63.3%と比較して22.2ポイント減少。この5年間で最低となった。
一方、「買い時だと思わない」の回答が37.6%(同6.4ポイント増)で、この5年間でもっとも少なかった2013年7月の36.7%を0.9ポイント上回った。
今後の不動産の価格については、「下がると思う」の回答が34.4%(同7.1ポイント増)となり、「上がると思う」の回答は22.9%(同0.3ポイント減)となった。
売却意向のある人に不動産の売り時感について聞いたところ、「売り時だと思う」「どちらかと言えば売り時だと思う」を合わせ75.8%となった。その理由は「今なら好条件での売却が期待できるから」の回答が最も多く51.4%、次いで「不動産価格が上がったため」の回答が47.7%となった。
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「不動産は買い時」感が過去5年で最低となったのは今のユーザーのムードを反映してはいるが、記者はこの種の「売り時」「買い時」調査をあまり重視しない。住宅を投資の対象にしている人や住宅に困っていない富裕層などはともかく、圧倒的多数派を占める住宅困窮者にとって「売り時」「買い時」などと考える余裕はないと考えるからだ。
住生活基本計画における居住面積水準では子育て世帯の63.8%が最低居住水準以下・誘導居住面積以下となっており、その他、耐震性、住環境、最寄り駅からの距離、通勤時間などの不満を合わせれば、住宅困窮者は圧倒的多数派を形成する。
このような層はいつも「買い時」であり、ステップアップが可能ならいつも「売り時」であるはずだ。
「買い時」と感じていない人が増加しているというのは、それだけデベロッパーや不動産流通会社の提案力・需要喚起策が低下しているということだし、ユーザーの将来不安に対する解消策を示せない国の責任は大きい。
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